2005 Fiscal Year Annual Research Report
分権改革以後のスコットランドにおける政府間関係--都市政策を事例として
Project/Area Number |
17730093
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 幹根 北海道大学, 大学院・公共政策学連携研究部, 助教授 (30295373)
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Keywords | スコットランド / 分権改革 / 都市政策 / 憲法構造 / 地方政府 / 政府間関係 / 政党政治 / 都市計画 |
Research Abstract |
99年の分権改革から7年を経過したスコットランド政治は、一方では安定性を維持する一方、他方ではUK政府との関係において、憲法構造に関わる問題を提起させている。これは、The West Lothian Questionという形で問題とされている(スコットランド選出の国会議員を、専らイングランドに関わる立法行為から排除させるべきか否か)。また、労働党を除く各党はスコットランド政府の独自性を強化させるため、財政的自立を高めるための政策指針を提示しようとしている。 また、地方政府の活動を見ると、それぞれの都市が、経済的発展を志向して、独自の開発政策や都市政策を具体化させている。具体的には、グラスゴーにおけるウォーターフロント開発構想の具体化や、エジンバラ市における中心市街地への自動車流入を規制する税制の具体化と挫折などにあらわれる。さらに、近年、都市計画をコントロールする法案(the Planning Bill)が具体化されているが、開発規制権限を、基礎自治体である地方政府が担うべきか、スコットランド行政府が担うべきかで対立が生じている。 このように、スコットランド政治をめぐる政府間関係は、一方において、UK政府とスコットランド政府との関係に関しては、憲法構造上の問題と政党政治との対立が交錯している。他方においては、地方政府ごとにおける多様な都市政策があらわれつつも、スコットランド政府と地方政府との関係は緊張をはらんだものとなっていることが明らかになった。今後、それぞれの地方政府がどのように都市政策を形成、実施しようとしているのか、特に、政府以外の主体との関係においてこれを考察する予定である。
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