2006 Fiscal Year Annual Research Report
分権改革以後のスコットランドにおける政府間関係--都市政策を事例として
Project/Area Number |
17730093
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 幹根 北海道大学, 大学院公共政策学連携研究部, 助教授 (30295373)
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Keywords | スコットランド / 都市政策 / 地方政府 / スコットランド議会 / 選挙 / ガバナンス / 政府間関係 / 政党政治 |
Research Abstract |
本年度の研究において、スコットランドにおける地方政治、都市政策を文献・資料を通じて、また、現地における実態調査の双方から把握することができた。第一に、スコットランド内のみならず、英国全体、さらにはヨーロッパ内での都市間競争はいっそう高まり、いっそうの発展を指向する都市は、スーパーカジノの誘致(グラスゴー)、それぞれの都市ですすめられると仔細開発プロジェクト、首都エジンバラに集積していたスコットランド行政府機関の地方分散政策、都市間を連結する高速交通網の整備などの政策において複雑な利害関係に置かれている。また、他方で、スコットランドにおいては、主として都市内部における貧困層・地域の対策をどのように進めるかが大きな政策課題となっており、都市内部の貧困層・地域対策は、医療・福祉政策ともかかわり、いつそうその必要性が高まっている。第二に、2007年5月に予定されている地方政府選挙において比例代表制が導入され、従来まで多数を占めていた労働党支配の構造が崩れる地方政府が多数出現するものと予想されている。また、地方税(カウンシル・タックス)の税率をどの程度抑制するのか、また、教育やソーシャル・ワーカーによる福祉サービスの質的向上をどのようにすすめるのかに関して、それぞれの地方政府がより適切な行政運営を行うかに対する圧力がいっそう高まっている。この点に関し、上位政府であるスコットランド行政府がどのように地方政府と協調関係を維持しながら、公共政策の質的向上を図るのかが問われている。第三に、2007年5月においてスコットランド議会も、選挙を迎え、2003年からの第2期、4年間の労働党,自由民主党連立政権に対する評価も様々な形で行われている。本年度の調査においても、スコットランド行政府官僚のレクチャーや、スコットランド議会議員のフォーラムなどを聴く機会があり、本研究をすすめるに際して有益な知見を得ることができた。今後、次年度の研究課題として、引き続きスコットランド議会選挙・地方政府議会選挙の動向を追跡し、把握するようつとめる。
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