2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17730305
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉島 哲 京都大学, 人文科学研究所, 助手 (70378884)
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Keywords | 身体技法 / 実践 / 武術 / 認識論 / わざ言語 / ハビトゥス |
Research Abstract |
本研究の目的は、一般的には非言語的なものと考えられている身体技法の習得過程において、言語の使用がどのような役割を果たすかを明らかにすることである。その準備として、私は平成16年度までに京都市に所在する武術教室S流の参与観察を5年間にわたって(平成11年5月〜平成16年10月)行い、身体技法の習得過程において言語が一定の役割を果たすことを明らかにした。平成17年度は、これまで行ってきた日本の太極拳教室の追加調査を行いつつ、その成果を取りまとめることで、英文と仏文の報告書を作成した(4月〜8月)。これを、フランス語圏のアジア学者のネットワークであるアジア・ネットワーク(Reseau Asie)の第二回国際会議(パリ開催)にて報告した(9月29日)。この会議におけるフィードバックにもとづいて、これまでの日本における調査を国際的な比較調査へと展開するための方法論を検討した。こうして得られた方法論をもとに、英国はマンチェスターにおける2カ所の太極拳教室の参与観察を2ヶ月間にわたって行った(平成18年1月23日〜3月24日)。調査期間の前半は大まかな人間関係や組織の把握に努め、後半は個々の生徒に集中的に聞き取り調査を行った。その結果、同一の教室内であっても、自分が身に付けつつある技法についての認識はそれぞれの生徒ごとに異なっていることが明らかにされた。それにくわえて、このような技法認識の多様性が、それぞれの生徒によってどのように流派によって定められた技法の同一性に接合されるかについて、いくつかの類型を抽出することができた。帰国後は、現地調査の成果を取りまとめ、これを奈良教育大学で開催された日本スポーツ社会学会第15回大会(3月27日)にて報告した。
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Research Products
(1 results)