2005 Fiscal Year Annual Research Report
遠距離介護を可能にする地域ケアシステムについての研究
Project/Area Number |
17730311
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
鍋山 祥子 山口大学, 経済学部, 助教授 (00335762)
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Keywords | 高齢者介護 / 遠距離介護 / 地域福祉 / 別居子 |
Research Abstract |
遠距離介護と地域ケア資源との関連を明らかにするため、本年度は別居子への質問紙調査を実施した。調査項目の設計にあたっては、遠距離介護の支援をおこなっているNPOによって実施された「遠距離介護の実態調査」および、遠距離介護に関する文献や家族社会学の領域における先行研究を参考にした。また、本研究の独自性でもある「地域ケア資源との関わり」については、別居子ゆえの心理的負担や利用サービスと同時に緊急時の対応についても質問項目を設けた。調査対象として、老親(山口県在住)と別居しており、同時に親の身辺について不安を感じる年代(40-60歳)の人々を選定する必要があったため、山口七夕会(関東在住の山口県出身者の会)と山口大学経済学部同窓会の関東支部の協力を得て、909通の調査票を送付した。これに対して292通の有効回答が得られ、現在データ入力を進めている。当初の計画通り、統計分析は来年度に入り次第実施し、その成果について、学会報告と雑誌への論文発表をおこなう。さらに、来年度に予定している「聞き取り調査」への協力者を求める項目を調査票に設けたところ、予想以上の協力者を得ることができた。これにより質的調査(遠距離介護実践中の親子、もしくは遠距離介護経験のある子が対象)の実現が可能となった。また、質的調査の分析方法としては「グラウンデッドセオリーアプローチ」を想定しており、方法論についての文献研究も並行しておこなった。 既存の調査、文献研究から得られた知見のうち重視するのは、地域に求められる遠距離介護支援サービスとして「緊急時の老親の安否確認」が重要であるという点である。この点について、山口市への聞き取り調査をおこない、緊急通報システムの構築推移や利用実績を確認した。民間企業による安否確認機器の開発・販売も増加する中、サービスを誰が(契約者は誰か)利用するのか、また、サービス利用は別居子および老親の安心のために役立つのか、という視点を持つことの重要性を認識した。来年度は、本年度の研究において把握できた緊急時の老親の安否確認をトータルにおこなっている団体に対する追加的な聞き取り調査を実施し、質問紙調査の結果と併せて、質的調査の実施へとつなげる。
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Research Products
(1 results)