2006 Fiscal Year Annual Research Report
災害に強い社会の実現に向けた地域防災力向上に関する実践的研究
Project/Area Number |
17730363
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
元吉 忠寛 名古屋大学, 大学院教育学研究科, 助手 (70362217)
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Keywords | 自然災害 / 防災 / リスク認知 / リスク・コミュニケーション / ワークショップ / 科学教育 / リスク教育 |
Research Abstract |
本研究の主な目的は以下の二つである。一つ目は、家庭防災と地域防災の促進要因と、阻害要因について検討し、因果モデルを構築することである。もう一つは、防災行動モデルに基づいた、ワークショップ・プログラムを開発し、実践することである。本年度は、防災行動を促進させるための一つの要因として位置づけられる災害のイマジネーションカに関する調査研究を行った。東海地方の大学生を対象に、災害後の自分自身や周りの状況や生活に関するストーリーを記述させたデータに対して、テキストマイニング手法により内容分析を行った。その結果、学生の災害に対するイマジネーションは,以下の三つの特徴があることが明らかになった。一つ目は、巨大地震の発生と身近な死というものを結ぴつけて考えるのが困難なことである。二つめは、家族や友人など身近な他者についての想像はできても、普段身近な存在でない地域コミュニティの人々ともに生活していく自分というものを想像しにくいということである。三つ目は、将来に対して楽観的に考えるポジティブ幻想と関連し、全体的にイメージが楽観的であるということであった。このような災害イメージの測定法によって、対象者の災害イマジネーションカが把握できる可能性が示唆された。 また、ワークショップ・プログラム開発と関連して、中学生に対する防災教育プログラムを開発し、実践を行った。水害リスクについて、科学的な現象の理解を目指すとともに、地域の水害に対する脆弱性を地理的な観点から学習することがこのプログラムの目的である。また、避難勧告に対する対応について意思決定を行うゲームを通して、リスク・コミュニケーションの重要性について認識することができるようになることも目指している。このプログラムの効果について引き続き検討していく予定である。
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