2006 Fiscal Year Annual Research Report
バウムイメージとの新たな心理臨床的関わりを探索する開発的研究
Project/Area Number |
17730414
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Research Institution | Baika Women's University |
Principal Investigator |
鶴田 英也 梅花女子大学, 現代人間学部, 講師 (60346096)
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Keywords | バウムテスト / 地下描写・地上描写 / 根っこ / コスモロジー / 視点 / 2枚法 / 風景 / イメージ |
Research Abstract |
・梅花女子大学にて、今回は2枚法を実施した。2枚法は、1枚目には根っこを描かないバウムを、2枚目には根っこを描くバウムを描いてもらい、さらにどちらの絵が自分にしっくりくるかを選んでもらうというものである。さらにその結果について、梅花女子大学大学院生5,6名とともに、描き手がどちらをしっくりくると選んだかをブラインドで当ててもらう合議法を実施し、さらになぜそのような結果になったのか、根っこを描く描かないによってバウムのイメージ、コスモロジーがどのように変容しているのかを、様々な視点から何度も研究会を開いて検討した。この検討結果については19年度に学会発表する予定である。根っこは一般に木のあり様と同様に大地、人間で言うと現実世界への根づきを象徴するものと考えられているが、バウムがどれだけ自分にしっくり来るかという視点は、必ずしも根づき感とは結びつかず、むしろ大地だけでなく環境、風景、紙全体の中でどれだけバウムが自然なあり方をしているかということと結びつくものと考えられた。 ・特徴的な樹木風土を持つ地域として、屋久杉の生息する屋久島を調査した。実際にガイドに同行し、屋久杉と屋久島についての説明を聞きながら、縄文杉をはじめとする特徴的な樹木について調査を行った。屋久島は島全体が花崗岩でできており、しかも雨量が多い島で、土壌も定着せずにすぐに流れてしまう。つまりいわゆる樹木が生息するのに快適な環境とは言えない。屋久杉の多くは岩に生えたコケに残った種子から生えてきたり、木材用に伐採された切り株の上に生えたり、あるいは倒木の上に生えているものもある。つまり、大地にしっかりと下ろしてというものの方がむしろ少ないかのような印象を持つ。また屋久島は雲霧体であり、杉にもかかわらず熱帯系の樹木のように気根や表皮から水分を吸収する。屋久杉のあり様はまさに、大地に根づくというより環境、風土に生きるというあり方を示していて、バウムのコスモロジーを考える上で非常に示唆的な調査であったと思われる。
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Research Products
(3 results)