2006 Fiscal Year Annual Research Report
Competency Based Curriculumに関する国際比較研究
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17730457
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中矢 礼美 広島大学, 留学生センター, 助教授 (70335694)
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Keywords | カリキュラム / コンピテンシー / 到達度評価 / 授業実践 |
Research Abstract |
本年度は、カリキュラムにおいてコンピテンシーという用語を用いているアメリカ合衆国(ノースカロライナ州)、インドネシア、フィリピンを対象に、カリキュラム開発原則、カリキュラムフレームワーク、教授方法および評価の特徴について、現地調査(資料収集・分析、関係者面接調査、学校における参与観察)に基づいて明らかにした。 (1)ノースカロライナ州カリキュラムは、経済界有力者と教育研究者らが協同して決定した必須コンピテンシーを基盤としていることが特徴的である。中でもコンピテンシーの基盤となるスキル(特に思考力)の育成に力を入れており、各教科では学習内容をツールとみなし、生徒の経験と実生活に近づけ、生きる力を獲得させるために多角的に学習内容、学活動および評価活動を組織化している点を明らかにした。また実践においては、コンピテンシー的な能力観を基盤とした教科書、教師指導書、教材ツール、評価ツールが開発され、教師に過度の負担がかからないよう、相当な整備がされていることを明らかにした。 (2)インドネシアのカリキュラムの特徴については、前年度に解明したが、今年度は各学校独自のカリキュラム開発動向を調査を行い、評価に問題があることを明らかにした。 (3)フィリピンの基礎教育カリキュラムは、教科ごとにハンドブックが作成されており、教科解説、時間配分、期待される学習成果(最終ゴールと学年別目標)、スコープとシークエンス、学習コンピデシー、レッスンプランが記載されている。各スコープの目標は、第1学年から第6学年までを通して図示され、教師は全体を通しての学びの流れを掴むことができる。レッスンプランの特薇は、必ず何かしらの価値観の育成が中心に据えられ、学習方法や題材が複数教科のカリキュラムと教科書から抜粋され、組み合わされ、統合的な学習を目指していることである。 このように調査・分析の結果を踏まえて最終年度においては、さらに分析対象国家・地域を拡大、コンピテンシー概念のカリキュラム開発へ効果的な適用方法についてさらに検討を進めたい。
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