Research Abstract |
本研究の目的は,運動部活動への参加を通じて形成したライフスキルに対する信念を基に,生徒が時間的展望を獲得できるプログラムを開発し実践することである。その内本年度は,ライフスキルに対する信念の形成を促す運動部活動経験を明らかにするために,昨年度の研究において提唱した仮説モデルに従って,実際の高校運動部活動を対象にした介入研究を行った。 まず,運動部活動の一環として郵便局における年賀状配達のアルバイトを取り入れている高校に協力を依頼し,仮説モデルに従って,ライフスキルに対する信念の形成及び時間的展望の獲得を促す介入を行った。介入の評価は,介入前後,3ヶ月後,半年後に質問紙調査,感想記入・インタビュー調査によって行った。次に,上記運動部と同様にアルバイトを取り入れている運動部を対象に,アルバイト実施前後に,ライフスキルに対する信念の形成及び時間的展望の獲得程度に関する調査を行った。さらに,部活動とは関係なく自らの意志でアルバイトに参加した高校生6名を対象に,アルバイト経験についてインタビュー調査を実施した。 本研究の結果,仮説モデルに基づいた介入を行った運動部において,1)アルバイト実施前後で,ライフスキルに対する信念が肯定的に変容する,2)時間的展望に肯定的変容が認められた生徒は,アルバイト活動を運動部活動と関係づけて考える傾向が認められる,3)運動部活動経験を振り返ることによって,ライフスキルに対する信念及び時間的展望は肯定的に変容する,ことが確認された。 なお,本研究から得られた知見については,国内学会における研究発表(2件)及び,スポーツ指導者及び運動部活動指導者を対象とした研修会・講習会(5件)を通じて,広く公表した。
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