2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740012
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
上原 北斗 首都大学東京, 大学院理工学研究科, 准教授 (80378546)
|
Keywords | 導来圏 / 安定性条件 |
Research Abstract |
Bridgelandは物理的な動機付けから三角圏に対し安定性条件を定義し、与えられた三角圏$T$に対して決まる安定性条件全体の集合$Stab T$(安定性条件の空間)を考え、それにある種の位相をいれることで$Stab T$が複素多様体になることを示した。安定性条件の空間に関して、私は石井亮氏、植田一石氏との共同研究の中で次を示した: 定理 曲面上の$A_n$型特異点の極小特異点解消をとり、その上の連接層の導来圏$D$(正確にはそのうち、例外集合に台を持つもの全体のなす充満部分圏)に対して、その$Stab D$が連結かつ単連結である。 これにより$Stab D$はある種の良く知られた空間の普遍被覆として得られることが示せる。これはBridgelandらによって予想されていだことである。安定性の空間が具体的に記述されている例は非常に少ないので上記の結果は貴重な例を与えることがわかる。 さらに私は戸田幸伸氏との共同研究で、グラスマン多様体の余接層の導来圏の良い生成元を具体的に記述しようと取り組んでいていくつかの部分的な結果を得た。Kaledinの結果からこのような生成元の存在は知られているが、この具体的な記述は知られていないようである。またその応用として、グラスマン多様体の余接束から得られるフロップが導来同値を与えることも示そうと取り組んでいる。
|