2005 Fiscal Year Annual Research Report
界面運動、生物モデルの数理解析、及び泡の運動、結晶成長のモデル構築
Project/Area Number |
17740063
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
矢崎 成俊 宮崎大学, 工学部, 助教授 (00323874)
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Keywords | 泡の数理解析 / ヘレ・ショウセル / クリスタライン運動 / 界面運動 / 移動境界問題 / 結晶成長 / 爆発問題 / 特異性 |
Research Abstract |
本年度の現在まで継続している主な研究は以下の通りである: 1)縦置きHele-Shawセル中を浮上する単一の泡の挙動の数理解析 2)クリスタライン曲率流方程式の解の漸近挙動、爆発レート、及び厳密解の例示 3)曲率運動に対するクリスタライン・アルゴリズムの収束性 以下に研究概況を記す。 1)セル内を浮上する単一の泡の径が小さい物については、世界的にも多くのまとまった研究がなされているが、ある程度以上の大きな径の泡に対しては、未だ決定的な研究がなされていないのが現状である。そこで本研究においては、物理実験、モデリング、数値計算、数学解析の4方向から多角的に研究を行っている。川口正美(三重大学)研究室の実験結果を下に、モデル方程式の構築を試行しており、発展途上段階である。また、小園茂平(宮崎大学)流体研究室と共同でPIVを用いた実験を行い、川口研究室とは異なる手法で泡の挙動の解析にアプローチしている。モデリングとその解析は牛島健夫氏(東京理科大学)と共同研究している。現在、第1段階のモデル方程式を発表しており、このモデルの解析と、現象を忠実に再現するより優れたモデル方程式の構築が今後の課題となっている。 2)今年度の大きな成果は、既知の結果の例と反例を示す具体的な厳密解をいくつも構成できたことである。石渡哲哉氏(岐阜大学)と廣田千秋氏(秋田県立大学)と共同で研究している。巌密解、あるいは特解は、解の挙動、性質を示唆する重要な情報を提供する。今後は、得られた知見を下に、一般論を展開していく。 3)順序保存が成り立つ系と非局所的な効果が入り順序保存が成り立たない系のそれぞれの曲率運動に対する、クリスタライン・アルゴリズムを構築し、そのスキームの安定性、収束性、有限時間爆発性、あるいは面積保存性など、もともとの曲率運動を記述する方程式がもつ性質を受け継いだスキームを構成することができた。今後は、これらの知見を整備していく。
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