2006 Fiscal Year Annual Research Report
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17740091
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 岳 東京大学, 大学院数理科学研究科, 研究拠点形成特任研究員 (00396847)
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Keywords | 反応拡散方程式 / 特異極限 / 平均曲率流方程式 / 粘性解 / 等高線法 / 結晶成長 |
Research Abstract |
結晶のスパイラル成長を表す数理モデルについて、アレン・カーン型の方程式によるモデルと等高線法によるモデルの関係について研究した。本年度の研究成果は、漸近展開によって界面運動の等高線方程式が得られたことと、ごく短時間における解の挙動の解析により、初期値が連続関数であれば内部遷移層が形成されることが得られたことである。 去年度研究した多重井戸型ポテンシャルによるアレン・カーン型方程式との相異点は非線形項からくる解の挙動の違いで、通常のアレン・カーン型方程式では極限値が全てポテンシャルの極小値になるのに対し、スパイラル成長のモデルでは空間の各点ごとに解の値の極限値が異なるという点にある。しかもそれは渦巻曲線の中心を原点とした偏角の関数の一次結合になり、そのままでは滑らかな関数にならないという問題点がある。このため解から極限値とポテンシャルの極小点との差を引いた関数を考え去年度の結果に帰着させることはかなわなかった。しかし漸近展開の議論では問題を局所的に考えることで問題を解決することができた。 ごく短時間における解の挙動の解析においては、従来の手法を精査し極限値が各点において異なるような状況下でも対応できるよう手法の改良を行った。解を評価するための優解および劣解を構成する際、反応項による運動に焦点を絞った常微分方程式を考察するが、その解が初期値について周期的に増大することと、その周期が非線形項の周期と一致することが得られた。これにより優解および劣解を構成する際、従来の手法で構成した関数に極限値と極小点の差を加え、初期値にはその差を引くことで偏角の不連続点の問題を回避することができた。
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