2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740109
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
坪井 陽子 中央大学, 理工学部, 助教授 (70349223)
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Keywords | X線天文 / 原始星 / フレア / すざく衛星 / チャンドラ衛星 / HII領域 |
Research Abstract |
2005年7月10日、X線天文衛星すざくが日本から打ち上がった。すざくはX線マイクロカロリメータの機能こそ失ったものの、X線望遠鏡、X線CCDカメラ、硬X線検出器を搭載し、大面積、広帯域、低バックグラウンド、優れたエネルギー分解能という特徴を生かして現在活躍中である。私がその開発に携わったX線CCDカメラの性能、原理(Koyama et a1.2007a)、および全体のシステムとしての性能(Mitsuda et a1.2007)についてまとめた。また、このすざくを実際に用いて以下の5つの研究を行った。 1.距離が60〜275pcの近傍分子雲MBM12と、X線ソースがほとんど無い領域2つを観測し、MBM12の視野から6階電離した酸素からの輝線を検出した。これは太陽系を包む局所熱的プラズマ(Local Hot Bubble)からの熱的X線、もしくは太陽風と太陽系内の物質との電荷交換が起源であると結論付けた(Randall et a1.2007)。 2.HII領域カリーナ星雲を観測し、拡がったX線放射を検出した。酸素およびさまざまな元素からの輝線が検出されたが、窒素の輝線は検出されなかった。進化した大質量星では窒素が多くなっているので、拡がったX線放射は大質量星の星風起源ではなく、1つもしくは複数の超新星爆発が起源らしいことを明らかにした(Hamaguchi et a1.2007)。 3.銀河中心からの拡がったX線放射を検出し、鉄、ニッケルからのさまざまな電離度の輝線、および鉄の吸収端の構造を明らかにした。温度が空間的に一様であることから、この放射は点源の集まりではなく、真に拡がった構造である示唆を得た。また水素対鉄の組成比は太陽のそれの3.5倍程度であることがわかった(Koyamaet a.2007b)。 4.未知のTeV-γ線源HESSJ1804-216に対応していると考えられる2つの非熱的X線源を発見した(Bamba etal.2007)。 5.盾座方向の銀河系サーベイにおいて、フレアソースを発見した。温度は7千万度、吸収は×10^<22>Hcm^<-2>であった。フレアの時間スケールから連星か、主系列に至っていない若い星であると考えられる(Yamauchi et a1.2007)。
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Research Products
(7 results)