2006 Fiscal Year Annual Research Report
レーザーを用いた大強度ハドロンビームの高精度電流・電位分布計測法の開発
Project/Area Number |
17740178
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
李 成洙 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 助手 (20353360)
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Keywords | 加速器 / 高性能レーザー / 素粒子実験 / 実験核物理 / ビーム物理 |
Research Abstract |
本研究課題では、KEK陽子加速器の負水素イオンビームにYAGレーザーを照射し、ビーム強度分布と電位構造を直接計測する事を目標に定め、研究を実施した。その結果、非常に明確なビーム中性化データを取得し、極めて信頼性の高い測定手法を確立することに成功した。 負イオンビームはレーザー照射により電子を1つ失い中性化される。17年度には既存の負イオンビーム加速器にYAGレーザー照射系を加えることと、中性化を確認するためめ電子収集検出器、電流モニター等の開発を行った。機器据付けを予定通り完了し、5mA〜30mAのリニアックビームに対してレーザー照射実,を実施したはぎ取られた電子はほぼ理論通りの割合と軌道を描き、電子収集検出器で観測された。中性化によるビーム電流の低下は下流側の電流モニターで検証し、実験の健全性をチェックしている。本測定により得られたビーム分布は、相互チェックの為に用意したビーム破壊型のワイヤーセンサーの測定とほぼ一致した。さらに、電子収集検出器のバイアス電圧をスキャンする事で収集電子の詳細なエネルギー分布を測定することにも成功した。はぎ取られた電子はイオンビームの速度に一致した運動エネルギーを持つが、はぎ取られた場所の空間電位に依存したエネルギー拡がりも持つ。収集電子の再ネルギーを詳細に測定することで、ビーム内部の空間電位を直接測定することに世界で初めて成功した。 平成18年度には本計測システムを大強度陽子加速器J-PARCに適用する為の設計・検討を実施した。レーザープロファイルモニターと組み合わせて用いられる電流モニターの整備を進める一方、熱伝導の極めて良好な炭素材料を用いた電子検出器の設計・試作を行い、製作性や耐久性に問題が無いことを確認した。これら成果を線型加速器に関する国際会議(Linac2006)、及び第3回加速器学会年会において報告した。
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