2006 Fiscal Year Annual Research Report
ロスビー波束の砕波に伴う梅雨前線帯上のメソ擾乱の発生機構に関する研究
Project/Area Number |
17740317
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
榎本 剛 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球シミュレーセンター, 研究員 (10358765)
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Keywords | アジアモンスーン / シルクロード・パターン / 亜熱帯ジェット / 福井豪雨 / 関東の異常高温 / アンサンブル / 大気大循環モデル / 地球シミュレータ |
Research Abstract |
2004年7月は,日本各地で梅雨前線に伴う豪雨が見られた.また,梅雨末期には,関東地方等で異常高温が発生した.解析データや実施した高解像度シミュレーション結果を詳しく分析した結果,この月は強いロスビー波束がユーラシア大陸上を東向きに伝播しており,豪雨や猛暑等梅雨前線帯上の局地的な気象の発生に寄与していることが確認された.高解像度全球シミュレーションでは,5日前から猛暑を再現することができた.さらに,量は少ないが,福井に集中化した降雨を福井豪雨とほぼ同じ日時に再現することができた.また,7月1日からのアンサンブル実験を行ったところ,ロスビー波の伝播は北半球全体と比較して約2倍の期間の予測可能性があることが分かった.この成果は,日本気象学会の気象集誌に投稿した. 2005年6月下旬に日本の南岸にあった梅雨前線が急速に弱まり,日本海側に再び形成された.この事例について,高解像度シミュレーションを実施し,分析を開始した.今後は,偏西風帯やモンスーン活動との関連を解析データと比較しながら,前線の衰退と再強化のメカニズムについて明らかにしていきたい. 梅雨前線を含む北半球夏季モンスーンの再現性を向上させるために,本研究に用いている,地球シミュレータ用大気大循環モデルAFESの物理過程を改良した.格子点凝結過程では降水スキームを高精度化し,陸面過程では植生に応じた飽和土壌水分量の設定や標高や格子下の標高のばらつき(標準偏差)に対応した粗度長の調整を行なった.さらに,積雲対流スキームのパラメタ調整もあわせて行なった.その結果,北半球夏季の循環の再現性が向上した.また,中高緯度で局所的に強い降雨の再現性も向上したので,今後の梅雨前線のシミュレーションの精度向上が期待できる.
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Research Products
(4 results)