2005 Fiscal Year Annual Research Report
ケルビン・ヘルムホルツ不安定を介した太陽風エネルギーの磁気圏・電離圏への輸送過程
Project/Area Number |
17740324
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 洋介 名古屋大学, 環境学研究科, COE研究員 (20397475)
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Keywords | ケルビン・ヘルムホルツ不安定 / プラズマ輸送・混合 / 地球磁気圏 / 乱流 / 非線形 / 二次的不安定 |
Research Abstract |
本研究では、低緯度磁気圏境界面のモデル化を目的として3次元MHDコードの開発を行い、ケルビン・ヘルムホルツ(KH)不安定の3次元非線形発展について研究を行った。そのために我々は新たに移流方程式を制度良く解くことで知られる、CIP法をベースとしたMHD-CIPコードを開発した。CIP法では方程式を移流フェーズと非移流フェーズに分ける時間分離法を用いるが、非移流フェーズの時間発展にAdams-Moulton予測子・修飾子法を用いることによって磁場の発展も含めて統一的にCIP法でMHD方程式を解くことに成功した。 本コードをベースに、KH不安定の3次元非線形発展について調べた。その結果、KH不安定の3次元非線形発展は、渦周辺で励起される二次的不安定性によって特徴づけられ、渦を中心に3次元的構造を示し、2次元計算にはみられなかった新たな描像を示すことが明らかになった。このような特徴を調べるため、渦を1次元軸対称モデル化し、その線形応答を調べることによって渦構造の安定性について解析を行った。その結果、3次元渦構造は不安定であり、磁場は安定化と不安定化の二つの役割を果たしていることが明らかになった。その最大成長率は渦回転周期と同程度であり、プラズマβに弱く依存することが明らかになった。また、最大成長率を持つモードはβに強く依存し、低βでは長波長モードが卓越することがわかった。これは、磁気張力による安定化の効果が強く働くためであると理解できる。今後は、本年研究で明らかになった新たな物理プロセスを、KH不安定を介した磁気圏・電離圏相互作用のモデルに対応していく予定である。
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