2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740367
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
伊藤 清一 広島大学, 大学院先端物理科学研究科, 助手 (70335719)
|
Keywords | 非中性プラズマ / ビーム物理 / 空間電荷効果 |
Research Abstract |
本年度はビーム物理研究用に実験装置を製作,改良し,基礎的なデータを取得した. (1)真空度の改善.本実験の精度を高めるためにはイオンと中性ガスの衝突を極力低く抑えなければならない.また,目的とするカルシウムイオン以外のイオンの生成も抑制しなければならない.そのためには高い真空度を作る必要がある.今回,真空排気系,電極材料及びベーキング方法等の見直しを行い,これまでより一桁低い2x10^<-8>Pa台の超高真空を得ることに成功した. (2)イオン計測装置の製作.これまではイオントラップに捕捉したイオンの検出にマイクロチャンネルプレートを使用していたため,イオンの絶対数を正確に計測することは困難であった.今回,超高感度の増幅装置とファラデーカップを組み合わせることにより,およそ10^4個程度の精度でイオンの絶対数を観測することを可能とした. (3)レーザー誘起蛍光観測系の製作.上記の計測法では,全イオン数を正確に計測することが可能であるが,計測の度にイオンをファラデーカップに排出(破壊)しなければならない.そこで,これまでに整備していたレーザー冷却用のレーザーを利用したレーザー誘起蛍光観測系を製作した.これにより,イオンの実空間,速度空間分布を非破壊的に計測することが可能となった. (4)FP干渉計の製作.半導体レーザーでは積極的にフィードバックを行いその波長を安定させる必要がある.そのために波長の基準となる高安定のFP干渉計を製作中である. (5)基礎データの取得.以上の改良及び新たに製作した機器を用い,予備的な実験を行った.その結果,現状で10^7個のイオンを閉じこめ時間60秒程度で捕捉することに成功した.またレーザー誘起蛍光法による速度空間分布測定から温度は0.5eVであることが分かった.また,我々の目的の一つである非線形共鳴によるイオン損失を観測することにも成功した. 次年度はまず,イオンの実空間分布を詳細に測定出来るよう,レーザー誘起蛍光観測系を改良する.その上で,今年度の予備実験の結果を基に,非線形共鳴時におこると思われるイオンの実空間,速度空間分布の変化を観測,検討し,その結果をビーム物理へと焼き直す予定である.
|