2005 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的不斉ヘテロビスメタル化による新規キラル反応剤の創製
Project/Area Number |
17750085
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大村 智通 京都大学, 工学研究科, 助手 (00378803)
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Keywords | 合成化学 / 不斉合成 / シリルホウ素化 / 有機ホウ素化合物 / 有機ケイ素化合物 |
Research Abstract |
炭素-炭素二重結合に対し二種の典型金属元素をエナンチオ選択的に導入する触媒的ヘテロビスメタル化による新規キラル反応剤の開発をめざして、平成17年度は1,3-ジエン、アレン、およびメチレンシクロプロパンの触媒的不斉シリルホウ素化に取り組んだ。まず、1,3-ジエンに対する触媒的不斉シリルホウ素化を検討した。これまでの知見を活用し、光学活性三級ホスフィンと白金およびパラジウム錯体から調製した触媒を用いて様々な反応条件を検討したが、収率・エナンチオ選択性を満足する結果は得られず、効率的な不斉制御はこの段階では困難であることが明らかになった。一方、アレンのシリルホウ素化では、これまで高い選択性を得るために用いるシリルボランのホウ素上に不斉補助基を必要としていたが、光学活性ホスフィン配位子の構造最適化と適切な反応条件の設定を詳細に検討した結果、ジ(3,5-キシリル)ホスフィノ[1,1']ビナフチルを配位子に用い0℃で反応を行うことにより、アキラルな(ジフェニルメチルシリル)ピナコールボランの付加が最高93%eeのエナンチオマー過剰率で進行することを見出した。得られた光学活性β-ボリルアリルシランの不斉合成への応用を検討した。トリメチルシリルトリフラートの存在下シロキシ基を有するβ-ボリルアリルシランとアルデヒドの反応では、オキソニウム中間体を経る環化反応により、ボリル基を有する7員環不飽和エーテルが得られた。生成物のエナンチオマー過剰率は出発物と変化せず、完全な不斉転写を伴って反応が進行したことを明らかにした。また、メソ体のビシクロメチレンシクロプロパンに対しアレンの最適条件を適用したところ、シクロプロパンの二重結合に隣接するエナンチオトピックな2つの炭素-炭素結合のうち一方を選択的に切断し、位置選択的にボリル基とシリル基が導入された化合物を最高91%eeで得ることに成功した。
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