2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペプチドライゲーション法の開発とそれを用いる膜蛋白質合成
Project/Area Number |
17750158
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川上 徹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (70273711)
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Keywords | ペプチド合成 / ペプチドチオエステル / ペプチドエステル / ケミカルライゲーション / CPEライゲーション / N-Sアシル基転位反応 / ジケトピペラジン / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
近年,ペプチドセグメントを縮合することによる種々の長鎖ペプチド合成法が報告されている.本研究では膜貫通型蛋白質の合成を念頭に置いた新規ペプチドライゲーション法の開発を目的としている.これまでのペプチドライゲーション法ではほとんどの場合,ペプチドチオエステルが合成ブロックとして用いられてる.しかし,そのペプチドチオエステルは既存の一般的なFmoc固相合成法では直接調製することができない.そこでペプチドチオエステルではなく,ペプチドエステルを合成ブロックとして用いる新しいライゲーション法を開発した.システイン含有ペプチドは一定条件下においてN-Sアシル基転位反応を起こし,S-ペプチド(ペプチドチオエステル)が生成することが判明した.しかし,このチオエステル体はS-Nアシル基転位反応によって容易にもとのアミド体に戻る.そこで,N-Sアシル基転位反応で生成するアミノ基をさらに別の基と反応させることで不活性化し,S-Nアシル基転位反応が起こらないようにデザインした.C末端にCys-Proエステル(CPE)構造を有するペプチドは,N-Sアシル基転位反応によって生成するアミノ基が,さらに末端のエステルと反応してジケトピペラジン構造を形成する.よってS-Nアシル基転位反応が起こることなくチオエステル体を与える.この反応はライゲーション反応溶液中で進行し,生成したチオエステルはN末端にシステイン残基を有するペプチドとネイティブケミカルライゲーションの様式で反応し,長鎖ペプチドを与えることを見出した.また,CPE構造中のチオール基を保護することによって反応を制御することができ,N端あるいはC端で選択的に反応を行うことができることを見出した.これによって柔軟に合成戦略を立てることが可能になり,今後これらの成果は複数膜貫通型蛋白質合成に適用されるものと期待される.
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[Journal Article] Peptide Thioester Synthesis via an Auxiliary-Mediated N-S Acyl Shift Reaction in Solution2007
Author(s)
Nakamura, K., Mori, H., Kawakami, T., Hojo, H., Nakahara, Y., Aimoto, S.
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Journal Title
International Journal of Peptide Research and Therapeutics E-pub(印刷中)
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