2005 Fiscal Year Annual Research Report
シトクロムb_<562>を構造基盤とする新規金属酵素の構築
Project/Area Number |
17750164
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐藤 秀明 久留米大学, 医学部, 助手 (60271996)
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Keywords | ヘムタンパク質 / 金属酵素 / 酵素反応 / リガンド結合 |
Research Abstract |
シトクロムb_<562>,インドールアミン-2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO),ミオグロビンなどは,補欠分子族としてプロトポルフィリンIX鉄錯体(ヘムb)を有するヘムタンパク質である。シトクロムb_<562>は電子伝達に関与するが,一般のヘム酵素が行なうような基質の酸化反応を触媒しない。本研究では,頑丈なシトクロムb_<562>の構造を基盤とし,適当な位置に外来の金属イオンを配位結合させることで新規な活性中心を構築して,基質酸化を触媒する新しい金属酵素としての機能をシトクロムb_<562>に対して付与することを目的とする。シトクロムb_<562>等のヘムタンパク質に対しては,分子表面に金属イオンの結合サイトを設けることで,より幅広いタイプの金属酵素の機能を付与できるものと期待される。そこで,PCR法によりアミノ酸変異を導入し,分子表面にMn^<2+>やCu^<2+>等の金属イオンの結合部位としてシステイン残基を導入したシトクロムb_<562>の発現系構築を行なった。今後,これらの変異型シトクロムb_<562>を大量発現させ,過酸化水素存在下での基質酸化活性の評価を行なう予定である。一方,IDOはトリプトファンへの二酸素原子添加反応を触媒するヘム酵素である。この反応機構を解明する上で特に重要な,IDO・基質・酸素分子からなる複合体を低温で構築し,分光学的手法により解析した。フラッシュホトリシス法を用いたヘム鉄に対する一酸化炭素や酸素分子の結合速度解析から,リガンド分子の結合を妨げるようなヘム近傍に基質が結合していることが示唆された。また,酸素貯蔵ヘムタンパク質であるミオグロビンについて,ヘムの骨格や側鎖,中心金属に変換を加えることによりリガンド分子に対する親和性を変化させうることを示した。
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