2005 Fiscal Year Annual Research Report
流動誘電緩和法に基づくポリエーテル/リチウム塩混合系の非平衡ダイナミックスの研究
Project/Area Number |
17750204
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松宮 由実 京都大学, 化学研究所, 助手 (00378853)
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Keywords | 流動誘電緩和 / ポリエーテル / 過塩素酸リチウム / ガラス転移温度 |
Research Abstract |
本研究が対象とする、ポリエチレンオキシド(PEO)/過塩素酸リチウム(LiVlO_4)混合系に対して、平衡状態におけるPEO鎖の運動性に関して検討を行った。この系においては、わずかに解離したリチウムイオンLi^+と分子状溶解したLiClO_4によるPEO鎖の会合体が少数存在すると考えられている。 PEO鎖内のOとLiの比で表したLiClO_4濃度が0.005から0.15の間の種々の値となる混合系を調製した。コーン・プレート型流動誘電セルを作成してレオメータに搭載し、上記のPEO/LiClO_4混合系に対して、誘電緩和測定および、種々の流動速度κにおいて定常流粘度測定を行った。比較のため、LiClO_4を含まない純PEO系についても誘電緩和測定を行った。動的誘電率ε'、誘電損失ε"の測定には自動誘電ブリッジを用い、粘度ηの測定にはレオメータの応力検出器を用いた。示差走査熱量計測定を行い、各添加塩濃度のPEO/LiClO_4混合系のTgを求めた。 電極分極に関するMacdonald理論の誘電データへの定量的フィッティングから、各系でのLi^+濃度C_<Li+>と易動度μ_<Li+>を評価した。以上の量を解析し、添加塩濃度の増加による粘度の上昇は、会合体の形成とT_gの増加が原因であること、また、Li^+の運動性は、高添加塩濃度域ではセグメント摩擦に比例するが、低添加塩濃度域ではセグメント摩擦に依存しないことがわかった。
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