2005 Fiscal Year Annual Research Report
気水界面における高分子修飾微粒子膜の構造評価と界面固定化によるナノ材料の創製
Project/Area Number |
17750206
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
毛利 恵美子 九州工業大学, 工学部, 助手 (60380721)
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Keywords | 高分子修飾微粒子 / グラフト重合 / 単粒子膜 / 気水界面 / 粒子間距離 / π-A等温線 / シリカ微粒子 / 高分子ラテックス |
Research Abstract |
近年、様々な機能を付加した微粒子の開発が盛んに行われているが、これらの微粒子の付加価値を高める為には、微粒子から成る高次構造の構築が不可欠である。そこで、本研究では、気水界面を用いて高分子グラフト微粒子が形成する2次元構造体(単粒子膜)の構造制御を試みた。モデル系として、核となる微粒子は、コロイダルシリカおよびポリスチレンラテックスの2種を用い、それらの粒子表面からポリメタクリル酸メチル(PMMA)をリビングラジカル重合によりグラフトした。これらの高分子修飾微粒子を気水界面上に展開し、単粒子膜を形成させた。π-A等温線、SEM測定により粒子膜構造に対するグラフト密度の影響およびグラフトした高分子の分子量の影響を調査した。 これらの微粒子が水面で形成した粒子膜に対するπ-A曲線は、表面圧の上昇が始まる占有面積がグラフトした高分子の分子量に強く依存した。表面圧の上昇が粒子間の高分子鎖の相互作用によるものと仮定すると、グラフト密度の高い系においては、上昇を始める点がほぼPMMA鎖の伸びきり鎖長に相当する位置と一致していることが明らかになった。実際、分子量の大きい試料に関しては、SEM測定おいて一定の粒子間距離をもつ単粒子膜構造が観察された。また、その粒子間距離が数百nmと非常に大きく、上記の推論を支持する結果を得た。一方、グラフト密度を3桁にわたって変化させたところ、π-A等温線から、グラフト密度の低い系においても、水面上でPMMA鎖が比較的伸びた構造をとっていることが示唆された。本来、高分子鎖が伸びきることはエントロピー的に不利であり、高分子の重合度によって高分子の大きさを極端に変えることは困難であるが、高グラフト密度という立体的相互作用と気水界面という特殊な環境を与えることにより、高分子鎖の伸縮を比較的広い範囲で制御することが可能になったものと考えられる。
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Research Products
(7 results)