2005 Fiscal Year Annual Research Report
強磁場・極低温下でのテラヘルツ計測のための、組み込み一体型分光装置の開発
Project/Area Number |
17760006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 紳一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (10376535)
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Keywords | テラヘルツ光 / 時間領域差分法 / 回折限界 |
Research Abstract |
本年度は一体型分光装置を開発するためのツール整備を行った。 まずは効率の良い集光系を実現するための数値計算プログラムの開発である。テラヘルツ光の波長はサブミリのオーダーであり、回折限界まで絞ってもサンプルサイズと同程度のことが多い。そこで電磁場のマックスウェル方程式を時間領域で数値解析する時間領域差分法のプログラムを開発し、放物面鏡によってどのくらいのスポットサイズまで絞れるかをシミュレーションした。そして計算結果が実験的に調べた結果と一致することを確かめた。更に空間分解能をあげるために、サンプル前に光の回折限界以下の大きさをもったピンホールを配置した時の光透過シミュレーションも行いそれが実験結果と一致することも確かめた。以上の数値計算技術は、一体型分光装置によるテラヘルツ分光測定(透過・反射測定)の定量的評価を行うために大変重要である。なお以上の結果は本郷キャンパスで行われた第3回COEワークショップで発表を行った。 次に光学部品の整備である。極小分光装置を作成するためには極小の光学部品を準備する必要がある。金属工作の技術を用い極小(φ10mm)の放物面鏡を作成することに成功した。またテラヘルツ光の検出用アンテナの整備を行った。そして低温でも接着能力を有するスタイキャスト剤の扱い方を習得し、各種部品をアセンブルする準備を行った。 最後に、光導入用ファイバーによる光チャープの補償である。プリズムペアを用いファイバー透過後の光パルス時間幅をサブピコ秒に縮めることに成功した。 今後は以上の準備を踏まえ、実際に強磁場・極低温下でのテラヘルツ計測を可能にする、組み込み一体型分光装置を組み立てていく予定である。
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