2005 Fiscal Year Annual Research Report
高品質高温超伝導体単結晶への位置制御された人工欠陥導入とその物性
Project/Area Number |
17760017
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
大井 修一 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料研究センター, 主任研究員 (10354292)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 人工孔欠陥 / 磁束線フロー / マッチング効果 |
Research Abstract |
高品質高温超伝導体単結晶、主に劈開による薄膜作製が可能なBi2Sr2CaCu208+yへの位置制御された微細孔の導入、およびその磁束線物性評価を行った。今年度は、ミリングによる試料表面の過熱防止、ダメージ低減のため、30Kまで冷却可能な試料ホルダーをミリングチャンバー内に組み込んだ。この試料ホルダーは可動式であり、ミリングと物理加熱蒸着をin-situで行うことが出来る。現在試運転中であり、所望のスペックを満たす性能である事を確認した。微細孔の導入に関して、Focused Ion Beamを用いて正三角格子・正方格子・ハニカム格子・ランダム配置など、様々な対称性を持つ微細孔格子の導入を行った。正三角格子・正方格子・ハニカム格子など、面内対称性がある場合には、磁束液体相におけるマッチング効果の存在が、局所磁化測定・磁束線フロー抵抗測定から確認できた。一方、ランダム配置の場合には、磁束線フロー抵抗にマッチング効果は見られていない。まだ微細孔の密度・サイズ等に関して、系統的に研究できてないため、今後引き続き試料作製・評価を行う。また、貫通孔だけでなく、表面に数10nmのメッシュ状構造を導入する事に成功し、僅かな表面構造にもかかわらず非常に顕著なマッチング効果が、磁束線フローに現れる事を見出した。 今後として、準結晶の対称性を持つペンローズ格子の導入や、EBを用いたパターニング、陽極酸化アルミナテンプレートを用いたより微細な規則孔格子の導入に取り組み、磁束線フローを人工的に導入した構造によって制御することを目指す。
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