2005 Fiscal Year Annual Research Report
パワーエレクトロニクス材料のフェムト秒レーザー加工と物性評価
Project/Area Number |
17760056
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
富田 卓朗 徳島大学, 大学院・工学研究科, 助手 (90359547)
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Keywords | フェムト秒レーザー / リップル構造 / レーザー加工 / 表面処理技術 / ワイドギャップ半導体 / シリコンカーバイド / 照射条件依存性 / 改質技術 |
Research Abstract |
フェムト秒チタンサファイア再生増幅器(Spectra Physics社,Spitfire)からのレーザー光(中心波長800nm,時間幅120fs)をワイドバンドギャップ半導体である単結晶シリコンカーバイド表面に照射した.照射後の試料表面の形状変化を走査型電子顕微鏡及び光学顕微鏡で観察し,照射強度,照射パルス数,照射パルス間隔,偏光依存性の観点から系統的に研究した.その結果,フェムト秒レーザーパルス照射後に特定の照射強度範囲内で生成されるレーザー誘起リップル構造が周期によって異なる閾値を明確にもち,この閾値がパルス間隔に依存することをはじめて明らかにした.これらの結果からレーザー誘起リップル構造は照射波長程度の周期を持つ"荒い(coarse)リップル"とその数分の一の周期をもつ"細かい(fine)リップル"がレーザー照射中に異なった物質相で生成されていると推察することができた.これは,現在活発に議論が行われているレーザー誘起リップル構造の生成メカニズムの理解に重要な情報を与えたと考えられる.さらに,レーザー誘起リップル構造のラマン分光分析を行い,荒いリップル部分はシリコンカーバイドの単結晶のラマンスペクトルを,また,細かいリップル部分はアモルファスシリコンカーバイドのラマンスペクトルを示すことを明らかにした.これらの結果は前述のレーザー照射中の物質相によってリップル構造の周期が異なっているとする考察結果を強く支持するものである.これらの結果はフェムト秒レーザー照射を用いたワイドバンドギャップ半導体の内部加工,特に照射強度の適切な調節によって所望の物性が得られるという内部改質技術の開発に欠かすことの出来ない情報を与えたと考えている.
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Research Products
(6 results)