Research Abstract |
第2相がバルクの機械的特性に及ぼす影響を明らかにするために,Dy123(DyBa_2Cu_3O_x)と第2相であるDy211(Dy_2BaCuO_5)のモル比が100-X:X(X=15,20,25)であるDy系超電導バルクから採取した試験片の曲げ試験を行った.X=15,20,25それぞれのバルクで,ヤング率は,112,123,133GPaであり,第2相量の増加に伴い上昇した.破壊強度およびそのワイブル係数は,62,78,87MPaおよび5.1,8.9,15.0であり,ヤング率と同様に,破壊強度も上昇し,そのばらつきは減少した. 銀がバルクの機械的特性に及ぼす影響を明らかにするために,銀を(5.0,7.5,10.0wt.%)添加したDy系バルクから採取した試験片の曲げ試験を行った.ヤング率は,銀添加量5.0,7.5,10.0wt.%のそれぞれで,135,133,124GPaであり,添加に伴い低下した.破壊強度およびそのワイブル係数は,82,89,91MPaおよび5.1,19.8,28.5であり,ヤング率とは異なり,破壊強度は上昇し,そのばらつきは小さくなった. 気孔がバルクの機械的特性に及ぼす影響を明らかにするために,破壊した試験片の気孔率を点算法により評価して,機械的特性データと比較・検討した.ヤング率・破壊強度ともに,気孔率の上昇に伴い低下する傾向が見られた.データ点の近似により,気孔率0%でのヤング率および破壊強度は,157GPaおよび98MPaと表された. 試験片の採取位置を参照することにより,バルク内部における機械的特性の分布を明らかにした.種結晶に近い位置での気孔率は低く,破壊強度は高い傾向を示した.バルクの底付近から採取した試験片には,破壊強度の著しく低いものが見られ,グリーンフェイズと呼ばれるDy211相の偏在が破面上に観察された.
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