2006 Fiscal Year Annual Research Report
アルミニウム基複合材料の耐摩耗マイクロメカニズムの解明と材料設計指針の提示
Project/Area Number |
17760119
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
宮島 敏郎 新潟大学, 自然科学系, 助手 (60397239)
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Keywords | トライボロジー / 摩耗 / アルミニウム基複合材料 / 往復摩擦摩耗試験 / 炭化ケイ素粒子 / 有限要素法 |
Research Abstract |
複合材料の機械的性質に関する複合則や材料の設計指針が構築されているのに対し、耐摩耗性に関しては、未だ定まった設計指針が存在せず、試行錯誤による材料開発が行われている。昨年度、A2024アルミニウム合金にSiC粒子を含有し強化した、SiC粒子強化Al基複合材料(以下MMC)の変形過程と摩擦面上の強化材単体の破壊・脱落過程を解明した結果を基に、本年度は、荷重支持効果に及ぼす粒子径と体積含有率の影響を汎用P法非線形解析ソフトによって調べた。また、往復摩耗試験機を用いて、MMCのすべり速度と荷重に対する摩耗への影響について調査した。 非線形解析によって、低い垂直分布荷重がかかる場合、低い体積含有率のMMCでは、荷重を支持するSiC粒子の数が少ないので、SiC粒子の大きさが荷重支持効果に影響を与える。高い体積含有率のMMCでは、粒子の大きさに依存しない。一方、高い垂直分布荷重がかかる場合、個々の粒子が支えられる荷重値を超えるため、SiC粒子の体積含有率の効果よりも、粒子径が大きく影響し、粒子径が大きい方が押し込まれにくくなることが明らかになった。 また、往復摩耗試験機を用いて、MMCの摩耗に対する粒子径の影響について調べたところ、すべり速度、荷重の増加に対して、粒子径が大きくなることで、摩耗量の増加を抑制できることが明らかになった。また、摩耗面に生じるうねりの山部分と谷部分の高さの差を測定したところ、低荷重では、粒子径による違いはみられないが、ある大きさ以上の荷重になると、粒子径が大きい方が、山部分と谷部分の高さの差が小さくなることがわかった。 昨年度の試験結果と、本年度の解析および往復摩耗試験によって、低荷重域では、粒子径よりも体積含有率の方が摩耗に対して影響が大きい。一方、高荷重域では、粒子単体の荷重支持効果が大きい粒子径が大きい場合が、耐摩耗性に大きく依存することが明らかになった。
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