2006 Fiscal Year Annual Research Report
粗子化分子動力学シミュレーションによる相変化ダイナミクス
Project/Area Number |
17760172
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
泰岡 顕治 慶應義塾大学, 理工学部, 助教授 (40306874)
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Keywords | 分子動力学 / 粗子化 / 分子動力学専用計算機 / 相変化 |
Research Abstract |
17年度は,液晶の粗子化分子動力学シミュレーションを行った.分子を回転楕円体として近似するゲイバーン粒子を用いてシミュレーションを行い,平板間に挟まれた液晶の振る舞いを観察した.また拡散係数を算出し平板間に挟まれた効果を検討した.18年度はゲイバーン粒子を用いたシミュレーションを引き続き行い、液晶分子としてよく用いられている5CBを例として計算を行った.一般にゲイバーン粒子を用いる計算の場合は、物質固有の情報は入らず縦に長い分子として液晶相が確認できることが報告されている.本研究では分子の情報を含むゲイバーン粒子を作成し,それを用いてバルクの液晶についての計算と平行平板問にはさまれた液晶分子についてのシミュレーションを行った.これらの結果を比較するために原子レベルでの分子動力学シミュレーションを行なった.計算には分子動力学専用計算機MDGPAPE-3を用いた.MDGRAPE-3は理化学研究所で開発されたもので,本研究の研究代表者も開発に加わったMDGRAPE-2の後継機種である.計算速度は汎用機の約百倍である.この計算機を用いるために特別にソフトウエアを作成する必要があるので,液晶分子のシミュレーションができるためのソフトウエアを開発した.このソフトを用いて液晶分子の分子動力学シミュレーションを行った.原子レベルでの計算は粗子化モデルと比較して汎用計算機で行う場合は数百倍計算が遅くなるため,計算時間としては粗子化の方が有利である.分子動力学専用計算機を用いることで百倍近く加速され,粗子化モテルの結果と原子モデルの結果を比較することが可能となった.分子レベルでの計算においても5CBを例としてバルクの系について拡散係数などを計算することに成功した.
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