2005 Fiscal Year Annual Research Report
利用者の日常生活行為を支える場としての高齢者居住施設のあり方に関する研究
Project/Area Number |
17760499
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 敏 東北工業大学, 工学部, 助教授 (90337197)
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Keywords | 特別養護老人ホーム / 認知症高齢者グループホーム / 生活行為 / 関わり / 空間利用 / 介護様態 / コミュニケーション / 行動観察調査 |
Research Abstract |
本年度は主に3つの調査を行った。ユニットケア型特別養護老人ホーム2施設おける調査と、比較対象としての認知症グループホームにおける調査である。本年度はまず、施設に居住する利用者の日常生活行為がどのような形で構成されているのか、生活行為から見た施設環境のあり方を明らかにしていくための基礎的なデータとして、それぞれの施設における利用者の生活様態、スタッフの介護様態を考察した。 調査は行動観察調査により、入居者の生活様態については空間利用、生活、そして他者との関わりという視点から、またスタッフの介護の様態については空間利用、介護内容、利用者との関わりという視点からデータをとった。 調査を通して、特別養護老人ホームとグループホームにおける利用者の生活の決定的な相違として、「関わり」行為の実態とその様態が示された。特に身体的に重介護で、かつ認知症を患う利用者にとってはスタッフからの関わり(直接的・間接的な他者とのコミュニケーション)行為が生活の質を高める上でも非常に重要となる。またその個別的な関わりを目指して生まれたのがユニットケア型の特別養護老人ホームではあるが、現実的には他者との関わり(対入居者間、対スタッフ)がきわめて少ない実態が明らかになった。そこには介護スタッフの業務様態、空間的な構成が影響していることも示された。一方でグループホームでは「関わることを目的とした関わり」という、特養ではほとんどに見られなかった関わりの様態が割合として多く観察された。 来年度以降は、さらに「関わり」とその様態に着目しながら、個々の生活行為(食事や余暇など)の中での関わりの実態と、「関わり」を支える居住環境、介護環境のあり方を調査分析していく予定である。
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Research Products
(3 results)