2005 Fiscal Year Annual Research Report
江戸時代における、山車の地域振興としての役割を明らかにする研究
Project/Area Number |
17760523
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
政岡 清計 九州共立大学, 工学部, 助手 (00289349)
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Keywords | 山車 / 曳山 / 祭礼 / 江戸時代 / 倹約令 / 財政改革 |
Research Abstract |
本研究では,江戸時代における山車が,町人の財力を背景とした蕩尽や歓楽のための道具としての役割だけでなく,祭礼時の商行為によって得た収益により庶民の経済や生活を支えるため,その集客に必要不可欠な存在であったことを示して,地域振興としての役割を求められていたことを明らかにすることで,山車の歴史的位置付けを再考する契機となることを目指している.さらに地域振興としての役割を求められていたことが,山車の形態にどのように反映されていたかを明らかにしていきたいと考えている. 今年度は,下記の通り,史料収集・研究成果の発表等を行った. (1)山口祇園会の山車「御上之山」について 萩毛利藩の天保改革の一環として行われた御上之山の調替(造替)に関する書状,調替決定後の地方町方からの調替差戻の願書より,御上之山の集客効果により祭礼の収益が支えられていたこと,庶民は祭礼の収益を生活の一助としていたことを示し,御上之山に地域振興としての役割があったことを確認した.以上の詳細は,日本建築学会大会,及び,九州支部において発表を行った(なお,大会での発表は,H17年度科研費交付前の成果なので,本報告書「11.研究発表」には挙げていない).今後は,御上之山の形態や変遷についても更に考察を深めて,新ためて論文としてまとめ,発表する予定である. (2)姫路播磨総社の一つ山・三つ山祭礼 一つ山,三つ山を描いた絵画史料や文書,参考文献の収集・整理を行った.その中で,祭礼時に投じる費用に対する経済波及効果を示唆する史料の手がかりを得た. (3)大阪天神祭 大坂では,天神祭に関する資料,山車に関する絵画史料の予備調査,天神祭りの山車の造り物に関する史料調査を行った.江戸期の山車の象徴物である造り物について考察するための史料として活用したいと考えている.
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Research Products
(1 results)