2005 Fiscal Year Annual Research Report
連続動的再結晶現象を利用した複相超微細粒組織を有する高強度アルミニウム合金の創製
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17760566
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
足立 大樹 京都大学, 工学研究科, 助手 (00335192)
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Keywords | アルミニウム合金 / 熱間押出し / 動的再結晶 / EBSP / 結晶粒微細 |
Research Abstract |
Al-Zn-Mg-Cu合金に急冷凝固法によりZrを過飽和に添加すると、脱ガス処理中に析出した直径10nm程度のAl_3Zrが初期粒界の長距離移動を抑制するため、粒界近傍で連続動的再結晶が生じる。その結果、微細粒が多く形成され、強度が増加する。 一方、Mnを過飽和に添加すると、脱ガス処理中に析出したμmオーダーのMn化合物周囲に転位が蓄積し、分散したMn化合物間に転位セル組織がネットーワーク状に発達し、そのセル壁が亜結晶粒界となり、さらには高角化するというメカニズムで連続動的再結晶が生じる。 MnとZrは連続動的再結晶が生じるという観点では同じであるが、そのメカニズムは大きく異なる。今回、これら二つの元素を同時に添加し、Al_3ZrとMn化合物というサイズオーダーの異なる相を析出させた場合、いづれか一方よりも連続動的再結晶が促進され、高強度化がなされるかどうかを調べた。 4mass%のMnを添加したAl-Zn-Mg-Cu合金に0〜1.5mass%のZrを添加した結果、押出し材にT6処理を施した材料の強度はZrの添加量とともに増加し、Zr=0.8mass%で引張り強度が950Mpaを超える強度を示した。この強度はアルミ合金の大型材としては世界最高強度のものである。 これらの結晶粒組織を調べた所、Zrの添加量の増加によりZr添加量が0.8mass%までは粒径1μm程度の微細粒の密度が増加していることが確認された。 このことから、Zr添加による強度の増加は結晶粒微細化によるものであると考えられる。 次に、この効果がZrによる連続動的再結晶の促進効果によるものかどうかを調べるため、押出しまま材の結晶粒組織を調べた。その結果、Zrの添加量によらず、微細粒の密度は同じであった。よって、Zr添加による効果はT6処理中の微細粒の粗大化抑制であると考えられる。
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