2006 Fiscal Year Annual Research Report
クマ科動物の適応放散と四肢の機能形態学的多様性に関する研究
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17770064
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
佐々木 基樹 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教授 (50332482)
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Keywords | 機能形態学 / 画像解析 / 解剖学 |
Research Abstract |
平成18年度は、レッサーパンダの後肢足根部位のCT撮影をおこなった。CT撮影には、左後肢を用いた。脛骨長軸と足底面が垂直な状態、および、その位置から足を可能な限り回外させた状態の2通りの条件で足根関節部位のCTスキャン撮影を行った。さらに、得られたCT画像データを三次元立体構築して、足根関節の可動状況を観察した。また、肉眼解剖によって、後肢構成筋の形態を検索した。肉眼解剖の結果では、前脛骨筋の筋質はクマ科動物に比べると発達していなかった。さらに、膝窩筋の付着部位は、脛骨の近位に終止し、脛骨遠位端から膝窩筋終止部までの距離を脛骨の全長で割った比率は0.58とマレーグマの0.25-0.34、ジャイアントパンダの0.34-0.35、ホッキョクグマの0.45-0,56、ヒグマの0.49-0.56に比べるとホッキョクグマやヒグマに近い値を示した。この膝窩筋の付着範囲の結果から、レッサーパンダでは効率的な下腿の回内は見られないと考えられる。しかし、レッサーパンダの足根関節のCT画像解析の結果では、距踵中心関節において距骨頭の舟状骨関節面を中心足根骨が大きく回転し、さらに、踵第四関節において第四足根骨が、踵骨の立方骨関節面を大きく内腹側方向にスライドしていた。その結果として足の内側縁がほとんど垂直に挙上し足底が完全に内側を向いていた。これは、マレーグマで観察された足根関節の可動域よりも大きかった。レッサーパンダは生態学的には十分樹上性に適応しているが、筋による樹上適応は認められなかった。しかし、足根関節の樹上適応は明らかに認められた。大型のクマ科動物とは異なり、体重の軽いレッサーパンダにとって、関節の可動域が十分に確保されさえすれば筋を発達適応させなくても木登りは十分可能であると推測される。
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Research Products
(1 results)