2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17770175
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Organization for Medical Research |
Principal Investigator |
原 太一 (財)東京都医学研究機構, 東京都臨床医学総合研究所, 研究員 (00392374)
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Keywords | オートファジー / AMPK / ATP / Atg / 制御 |
Research Abstract |
オートファジーは細胞質成分をリソソームへ輸送するシステムであり、ほとんどの長寿命タンパク質や一部のオルガネラはこの経路で分解される。この分解システムは酵母から高等動植物に至るすべての真核生物に備わっており、日常的な新陳代謝のみならず、栄養飢餓応答として重要な役割を担っている。細胞質での大規模分解は細胞にとって非常に危険な作業である為、オートファジーの過程は厳密に制御されていると考えられる。飢餓がオートファジーの主要なトリガーとして働くことは事実であるがその詳細な分子メカニズムは不明である。個体においては、インスリンなどの内分泌系がオートファジー制御に関わっていることが分かっている。一方、個々の細胞においても、細胞内アミノ濃度がオートファジーを制御していると考えられる。栄養センサーとしてタンパク合成の制御に中心的な役割を果たしているTORがオートファジー制御においても重要な役割を果たすことが分かっている。今回われわれは、細胞内アミノ酸濃度以外にエネルギー状態(AMP/ATPの変化)がオートファジー制御に関わる可能性を想定し、エネルギーセンサーであるAMPK(AMP-activated protein kinase)のオートファジー制御における役割を解析した。その結果、細胞の血清・アミノ酸飢餓におけるオートファジーの誘導が、様々なAMPK活性化剤処理により制御されることを見いだした。また、超高感度プロテオミクス法によりAMPKやAtg(オートファジー関連遺伝子)に相互作用する分子を複数獲得している。これらの分子が、オートファジー制御にどのように機能しているかも解析を進めている。長期間の飢餓による過度のエネルギー欠乏状態において、AMPKはATP消費活動であるオートファジーを抑制するのに寄与している可能性が示唆された。実際、生体の長期の飢餓においてオートファジーが抑制される現象が観察される。このようなオートファジー抑制機構の存在は、哺乳動物独自の代謝機構の理解を促進するものであると考えられる。
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Research Products
(2 results)