2005 Fiscal Year Annual Research Report
家畜ふん尿中に含まれる抗生物質の堆肥化過程における消長および土壌残留性
Project/Area Number |
17780051
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
江波戸 宗大 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 畜産草地研究所飼料生産管理部, 主任研究官 (00391376)
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Keywords | 家畜ふん尿 / 抗生物質 / 堆肥 / 土壌 / 残留性 |
Research Abstract |
1.目的 本研究では、畜種別にふん尿中に含まれる抗生物質の種類や量を把握し、堆肥化過程での抗生物質の消長、また抗生物質を含む堆肥が土壌に施用された場合の土壌への抗生物質残留性について明らかにする。今年度は堆肥中の微生物活性評価方法について検討した。 2.方法 市販されている堆肥熟度判定装置((株)富士平工業 コンポテスター)をアナログ出力から経時的に酸素消費量を測定できるように改造した後、熟度の異なる牛ふんもみがら堆肥(完熟、切返、生の堆積上部および下部、計6種)の酸素消費量を測定し、微生物活性から堆肥の熟度を定量化する解析方法を検討した。また、堆肥の培養時間の違いによる微生物活性についても検討した。 3.結果 改良型堆肥熟度判定装置を用いて経時的に酸素消費量を測定すると、いずれの堆肥も酸素濃度が初期状態で非線形的な減少の後に線形的な安定状態になることが明らかになった。 安定状態における堆肥1g当たりの酸素消費量は切返上部>生上部>切返下部>完熟上部>完熟下部>生下部の順で少なくなっていた。堆積上部の方が空気に接触しやすいため、好気性微生物が活発に活動していることが定量化できた。初期状態の非線形部分の近似式を求めてみると係数がほぼ同じ値で累乗部分だけ異なっていることが明らかになった。実際の微生物数との比較・検討が必要ではあるが、累乗部分は微生物の活性化度合いの評価指標となることが示唆された。累乗の値が小さいと非線形性が強くなることから、累乗の値が小さいほど微生物が活動しやすい状態にあると考えられる。切返上部の堆肥の培養時間が長くなれば、初期状態における累乗値が大きくなり(-0.0114から-0.0081)、安定状態における酸素消費量が少なくなる(10.13から6.06)ことから、堆肥中の易分解性有機物が微生物の活動によって消費されていった様子を定量化することができた。
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