2005 Fiscal Year Annual Research Report
真菌類由来アスコルビン酸類似体の動物における機能解明並びに生物学的利用
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17780103
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
田井 章博 岡山大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (70284081)
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Keywords | アスコルビン酸類似体 / コラーゲン合成 / グルコシル化 / アシル化 / HPLC |
Research Abstract |
アスコルビン酸(AA)は、壊血病を治療するビタミンとして良く知られており、この効果はコラーゲン合成の促進によるものと言われている。イソアスコルビン酸(IA)は、ペニシリウム属においてグルコースから生合成されるAAの5位エピマーであり、抗酸化剤として食品添加物として一般に用いられている。しかし、IAの抗壊血病効果は、AAの1/20程度である。また、初代トリ腱細胞においてプロコラーゲン合成促進作用が1/5から1/3程度とAAより低く、細胞内への取り込みもAAの1/5程度であり、さらに培地中での分解速度がAAに比べ速いと言われている。一方、コラーゲン合成のキーエンザイムであるプロリン4-ハイドロキシラーゼには、AAに特異的な結合部位があり、IAもこの酵素に対してAAと同程度に結合する報告がある。 これらの報告から、IAのin vivoとin vitroにおける低い生物活性は、プロリン水酸化反応における立体特異性が原因ではなく、細胞へ到達するまでの輸送ステップにおける立体特異性とIAの不安定さが原因であると考えられる。そこで、IAの安定性の向上のために2位のグルコシル化を、非特異的な細胞内への取り込みが可能となるように6位のアシル化を行った。得られた新規親油性安定型IA誘導体とそれに対応するAA誘導体を用いてヒト皮膚線維芽細胞におけるコラーゲン合成促進作用を検討した。IAは、AAに比べコラーゲン合成促進作用が低いのに対し、IA誘導体とAA誘導体は、全く同じ活性を示した。また、それら誘導体はAAよりも低濃度でコラーゲン合成促進作用を示した。
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