2005 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分の標的受容体分子の機能制御に基づく抗アレルギーシグナルの解明
Project/Area Number |
17780111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤村 由紀 九州大学, 大学院農学研究院, 特任助手 (20390304)
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Keywords | 食品 / シグナル伝達 / アレルギー / 緑茶カテキン / 好塩基球 / 細胞膜 / 標的分子 / IgE受容体 |
Research Abstract |
本研究は、緑茶カテキンの抗アレルギー作用を明らかにするため、主要な緑茶カテキンであるエピガロカテキンガレート(EGCG)の高親和性IgE受容体(FcεRI)の発現抑制作用と、われわれが新たに見出した緑茶カテキンの抗ガン作用を仲介する細胞表面受容体67LR(67kDa laminin receptor)ならびに細胞膜の機能性マクロドメイン脂質ラフトとの関係について検討を行った。 ヒト好塩基球様細胞株KU812におけるEGCGの細胞表面結合性ならびにFcεRI発現抑制作用は脂質ラフトの破壊により顕著に阻害され、さらに、細胞膜のラフト画分中にEGCGが局在し、非ラフト画分にはほとんど存在しないことが明らかとなった。このような結果から、EGCGが細胞膜上に存在するラフトに結合してその抗アレルギー作用を発揮していることが示唆され、ラフト局在分子が細胞表面上のEGCGの標的分子となりうる可能性が考えられた。そこで、最近、われわれが同定した緑茶カテキン受容体67LRの細胞膜における局在を検討したところ、67LRが脂質ラフトに局在していることが明らとなった。そのため、RNA干渉法により67LRの発現を特異的にノックダウンした細胞を構築して、EGCGのFcεRI発現抑制作用への67LRの関与について検討した。その結果、67LR発現の低下により、EGCGの細胞表面への結合性が低下するとともに、EGCGのFcεRI発現抑制作用およびその活性抑制に関わるERK1/2のリン酸化抑制作用の阻害が観察された。以上のことから、緑茶カテキンEGCGの抗アレルギー作用は、細胞表面上の脂質ラフトに局在する67LRへのターゲッティングによって開始され、それに引き続くERK1/2活性の低下が重要な役割を果たしていることが示唆された。
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