2006 Fiscal Year Annual Research Report
食品成分の標的受容体分子の機能制御に基づく抗アレルギーシグナルの解明
Project/Area Number |
17780111
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
藤村 由紀 九州大学, 大学院農学研究院, 特任助手 (20390304)
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Keywords | 食品 / 緑茶カテキン / アレルギー / シグナル伝達 / 67LR / KU812 / 好塩基球 / ヒスタミン |
Research Abstract |
本研究は、緑茶カテキンの抗アレルギー作用の分子的基盤を明らかにするため、主要な緑茶カテキンであるエピガロカテキンガレート(EGCG)のヒスタミン放出抑制作用と、われわれが新たに見出した緑茶カテキン受容体67LR(67kDa laminin receptor)ならびに細胞膜の機能性マクロドメイン脂質ラフトとの関係について検討を行った。 ヒト好塩基球様細胞株KU812におけるEGCGの細胞表面結合性ならびにヒスタミン放出抑制作用は、脂質ラフトの破壊により阻害され、さらに、細胞膜のラフト領域にEGCGならびに緑茶カテキン受容体67LRが局在していることが明らかとなった。これらの結果から、ラブト領域中の67LRが、EGCGの細胞表面への結合を介したヒスタミン放出抑制に関与する可能性が考えられた。そこで、RNA干渉法により67LRの発現を特異的にノックダウンした細胞を構築し、EGCGのヒスタミン放出抑制作用への67LRの関与について検討した。その結果、67LR発現の低下により、EGCGの細胞表面への結合性が低下するとともに、EGCGのヒスタミン放出抑制作用の阻害が観察された。 また、ヒスタミン放出は細胞内カルシウムレベルの上昇とそれに続く細胞骨格の再編成によって引き起こされるが、EGCGは細胞内カルシウムレベルには何ら影響を与えず、その細胞骨格を制御するミオシン軽鎖のリン酸化低下ならびにヒスタミン放出時に形成される細胞骨格(ラッフリング)の破壊を引き起こした。また、EGCGのこうした細胞骨格再編成作用は67LRを介して発現することも明らかとなった。 以上の結果から、緑茶カテキンEGCGの抗アレルギー作用(ヒスタミン放出抑制作用)は、細胞膜の機能性マイクロドメイン"脂質ラフト"に局在する67LRへのターゲッティングによって開始され、それに引き続くミオシン軽鎖のリン酸化低下に基づく細胞骨格の再編成によって引き起こされることが示唆された。
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