2007 Fiscal Year Annual Research Report
島嶼性希少鳥類の遺伝的構造解析を応用した島嶼林ネットワークの評価
Project/Area Number |
17780130
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
関 伸一 Forestry and Forest Products Research Institute, 九州支所, 主任研究員 (50343801)
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Keywords | 島嶼林 / 生息地ネットワーク / アカヒゲ / カラスバト / ミトコンドリアDNA / 遺伝的構造 |
Research Abstract |
カラスバトでは、小笠原諸島・伊豆諸島・隠岐諸島・九州北岸・五島列島・トカラ列島・沖縄諸島・先島諸島の8地域で収集した154サンプルについてミトコンドリアDNAコントロール領域ドメインIを含む部分約550塩基対を増幅し、463塩基の配列を決定した。この結果27のハプロタイプが確認され,集団遺伝学的解析の結果,小笠原をのぞき、本土周辺〜先島諸島にかけての広汎な島嶼群に生息する集団間でも遺伝的分化の程度がが低いことが明らかになった(Φ_<ST>=0.00〜0.21)。ただし,遺伝的分化係数は,生息地の空白域の大きさを補正した場合に対象生息地間の距離と強い相関があり,生息地の分布パターンが集団の遺伝的構造に影響している可能性が示唆された。例えば,先島諸島と沖縄諸島の間や,九州北部と隠岐諸島の間では,もともと大きな生息地の空白域があり,この周辺での生息地の消失は生息地のネットワーク構造に対する影響が大きいと考えられた。アカヒゲでは、トカラ列島〜沖縄諸島の間の8つの島で採取した150サンプルについて,ミトコンドリアDNAコントロール領域の全領域1226塩基の配列を決定した。その結果,29のハプロタイプが確認され,最南端の沖縄島の集団とそれ以北の集団とはそれぞれ独立した系統群に分類された。さらに,北部の系統群内の3グループ(徳之島・奄美大島・トカラ列島)の間では遺伝的な分化が認められた。このため,アカヒゲの場合には,琉球列島全体を生息地のネットワークとして保全するよりはむしろ,4つ生息地の保全策をそれぞれ独立に検討するのが望ましいと考えられた。
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Research Products
(4 results)