2005 Fiscal Year Annual Research Report
海洋無脊椎動物海藻多糖分解酵素の昆虫細胞系による発現生産
Project/Area Number |
17780164
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
井上 晶 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 助教授 (70396307)
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Keywords | 水産学 / タンパク質 / 酵素 / アルギン酸リアーゼ / セルラーゼ |
Research Abstract |
本年度は、アワビ由来のエンド型アルギン酸リアーゼ(HdAly)および同由来のエンド型セルラーゼ(HdEG66)の昆虫細胞発現系の構築を行った。まず、それぞれのタンパク質をコードするクローン化cDNAをpFastBac1ベクターに導入した。その際、発現タンパク質のウェスタンブロッティングによる検出とNiイオンに対する親和性を利用した精製操作を行うために、C末端部分に8個のヒスチジンからなる8xHis-tagを融合タンパク質として発現するように変異を導入した。このようにして調製した各組み換えpFastBac1を用いて、各タンパク質を発現する組み換えバキュロウィルスを調製した。得られたバキュロウィルスは、昆虫細胞Sf9に感染させた後、28℃で3日間培養することで目的タンパク質を細胞内に発現させた。組み換えHdAlyおよびHdEG66の発現は、抗His-tag抗体を用いたウェスタンブロッティングにより確認した。組み換えタンパク質を発現させた細胞は回収後、非変性条件下で超音波処理により破砕し、遠心分離で可溶性および不溶性画分に分けた。組み換えHdAlyは、発現タンパク質の約5%が可溶性タンパク質として得られ、Niアフィニティーカラムにより精製することができた。その結果、500mlの培養液から約0.1mgの組み換えHdAlyを得た。アルギン酸分解能を測定したところ、組み換えHdAlyの比活性値は天然のHdAlyと同等であった。また、至適温度およびpHは、それぞれ35℃および7.6であり、天然のものと比較して大きな違いは認められなかったが、熱安定性は天然のものと比べて約10℃低いことが分かった。一方、HdEG66は、細胞内に発現は検出されたものの、ほぼ100%が不溶性タンパク質であった。可溶性画分については、セルロースの分解活性を測定したが分解能は検出されなかった。
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