2005 Fiscal Year Annual Research Report
マルチエージェントと相互作用計量経済手法による参加型地域資源管理の成立条件の解明
Project/Area Number |
17780178
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Research Institution | National Institute for Rural Engineering |
Principal Investigator |
合崎 英男 独立行政法人農業工学研究所, 農村計画部, 主任研究官 (00343765)
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Keywords | 地域資源 / 計量経済学 / エージェント / 環境配慮行動 / 環境調和型農林水産 / 農業水利施設 / 維持管理 / 地域住民 |
Research Abstract |
本研究の目的は,農業水利施設の維持管理作業への地域住民の参加行動を対象に,他世帯の参加動向が自己の参加決定に与える影響を計量経済手法により実証的に把握し,その結果をマルチエージェント・シミュレータに取り入れ,地域内の世帯分布や地域資源の維持管理に関する情報提供等により,各自の参加行動および地域全体の参加率の変化を解明することである。 今年度の実施計画は,1)実態調査を通じた事例地域の選定,2)相互作用を考慮した計量経済手法による意思決定モデルの検討,および3)エージェントの行動ルールに関する検討である。 第1の地域選定については,複数地域での調査を踏まえて,実証分析に必要な定量データは宮城県と青森県の事例から収集することとし,一部ではデータの収集を実施した。また,定量データを補うため,両県も含めた複数の事例から定性データの収集を行った。 第2の意思決定モデルの検討については,分析対象が個別主体の参加決定といった離散値であることから,離散選択モデルに基づいて定式化することとした。また,他世帯の参加行動が自己の参加決定に与える影響では,他世帯が参加するから自己も参加するケース,他世帯が参加するなら自己は参加しないケース,他世帯の参加が自己の参加決定に影響しないケース,を判別できる必要がある。そこで,自己の行動の規定要因の1つに他世帯参加率を定め,その係数が個人によって変動しうるように定式化することとした。 第3の行動ルールに関する検討については,実態調査を通じて得られた情報,ならびにエージェントモデルや環境配慮行動等に関する文献から得られた情報に基づいて,他世帯の意思決定が自己の意思決定に与えるプロセス等をルールとして表現する方法を検討した一方,使用するシミュレータの機能を拡張するためのソフトウエア面での検討を行った。 以上の実績の一部については国内の関連学会で報告した。
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