2005 Fiscal Year Annual Research Report
宿主細胞核内に局在する日本脳炎ウイルスコア蛋白質の機能解明
Project/Area Number |
17780229
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
森 嘉生 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (40379095)
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Keywords | 日本脳炎ウイルス / コア蛋白質 / 宿主蛋白質 / 分子ウイルス学 |
Research Abstract |
日本脳炎ウイルス(JEV)は宿主細胞質で複製するが、ヌクレオカプシドの構成蛋白質であるコア蛋白質の一部が核へ移行して核小体に蓄積することが知られている。本研究室では、コア蛋白質に変異を導入してコア蛋白質核移行が認められなくなったJEV(M4243)を作製し、その性状を検討してきた。その結果、M4243は野生型ウイルス(WT)に比べ、哺乳類細胞における複製能が著しく減弱していたことから、コア蛋白質核移行はウイルス複製に重要な現象であることが明らかとなった。しかしながら、コア蛋白質核移行によってウイルス複製を促進する詳細な機構は未だ解明されていないことから、JEVコア蛋白質と相互作用する宿主核蛋白質を探索し、その蛋白質のウイルス複製に果たす役割の解明を試みた。まず、免疫沈降法でJEVコア蛋白質と共沈してきた宿主蛋白質を同定するため、質量分析法により解析したところ、核小体蛋白質B23が同定された。B23はWTのコア蛋白質とは結合するが、M4243のコア蛋白質とは結合しなかった。さらにB23とWT及びM4243コア蛋白質の細胞内局在を、JEV感染細胞において免疫染色により検討したところ、B23は核小体だけでなく顆粒状に細胞質にも局在することが分かった。このときWT-JEVコア蛋白質の局在はB23とほぼ一致したが、M4243コア蛋白質は細胞質に拡散して局在しており、B23との共局在は認められなかった。これらのことから、B23は、コア蛋白質の細胞内局在を決定する因子であることが示された。さらにB23のウイルス複製への影響を検討するため、B23あるいはその欠損変異体の発現細胞におけるJEV増殖を検討した。その結果、N末端及びC末端欠損B23を発現させた細胞において有為にウイルス複製が減弱した。このことから、B23はJEV増殖に重要な宿主因子であることが示された。
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Research Products
(1 results)