2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17780233
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山岸 則夫 岩手大学, 農学部, 助教授 (30281877)
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Keywords | カルシウム / 消化管 / 乳牛 / ECaC / mRNA / PCR |
Research Abstract |
乳牛の多発疾病として分娩前後の低カルシウム(Ca)血症がある。これまでの研究において、その病態には消化管のCa吸収機構が深く関与することが示された。消化管でのCa吸収には能動輸送が関わるが、牛においてCa流入制御因子の一つであるEpithelial Ca Channel (ECaC)については検討されていない。したがって、本研究では、牛消化管におけるECaC遺伝子の発現状況を解析することを目的とした。 臨床上健康なホルスタイン種乳牛1頭(3ヶ月齢,♂)を安楽殺し、第一胃から直腸までの各部位を採取した。粘膜組織からtotal RNAを抽出しcDNAを合成した。まず最初に、十二指腸のcDNAを用いて、ヒト、マウスおよびウサギECaCのPrimerペアを用いてPCRを行った。その結果、ヒトのECaC2のprimerペアでのみ予定サイズ(301-bp)の単一バンドが増幅され、ダイレクトシークエンス法での塩基配列の確認によって牛のECaC2の一部であることが確認された。このPCR産物はECaC2遺伝子の3'側に近い部位であったことから、3'-RACE法によって3'側の638-bpを増幅し、この配列から新たにprimerペアを設計した。次いで、この新しいprimerペアを用いて、第一胃から直腸までの各部位の粘膜から合成したcDNAについてPCRを行った。その結果、十二指腸においてとくに強い発現が認められた。 本年度の研究によって、牛ECaC2遺伝子の配列の一部が明らかになった。また、消化管粘膜では、calbindin D_<9k>とほぼ同様に小腸近位に強く発現していたことから、同遺伝子はこの部位でのCaの能動的吸収に関与していることが示唆された。次年度は、消化管におけるECaC遺伝子の組織局在と発現量に影響を与える因子に関して検討する予定である。
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