2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17780233
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山岸 則夫 岩手大学, 農学部, 助教授 (30281877)
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Keywords | 乳牛 / カルシウム / 消化管 / Epithelial Ca Channel(ECaC) |
Research Abstract |
【はじめに】乳牛の多発疾病として分娩前後の低カルシウム(Ca)血症が知られている。これまで、我々は低Ca血症の病態には消化管でのCa吸収機構が強く関与することを示してきた。一般に、.分娩時の消化管でのCa吸収には能動輸送が主役を演じるが、牛ではその制御因子の一つであるEpithelial Ca Channel(ECaC)について検討されていない。本研究課題において、前年度は、ECaC遺伝子が十二指腸で強く発現することを明らかにした。今年度は、乳牛の十二指腸におけるECaC遺伝子の発現量を解析した。 【方法】(1)臨床上健康な乳牛20頭から十二指腸粘膜を採材し、ECaCのmRNA発現量を半定量的RT-PCR法にて解析し、月齢や血中成分濃度との相関関係を検討した。(2)分娩乳牛4頭から分娩直後から採血を行うともに、分娩後12時間に十二指腸粘膜を生検した。採取血液について血中Caおよび1,25(OH)_2D濃度の測定、十二指腸粘膜の生検材料についてECaCのmRNA発現量の半定量を行った。 【成績】(1)ECaC mRNAの発現量は、乳牛の月齢ならびに血中1,25(OH)_2D_3濃度と正の相関を示した。血中Ca濃度との相関は見られなかった。(2)分娩乳牛では、分娩後12時間における血中Ca濃度が低値のものほど血中1,25(OH)_2D_3濃度は高く、十二指腸粘膜におけるECaC mRNA発現量も高値を示した。 【まとめ】十二指腸粘膜のECaC遺伝子の発現量が乳牛の月齢と血中1,25(OH)_2D_3濃度と強く相関したことから、この遺伝子は他のCa能動輸送関連タンパク質(calbindin-D_<9k>やplasma membrane Ca^<2+>-ATPase)と同様にビタミンD_3依存性に制御されることが示唆された。今後、乳牛の低Ca血症の病因および病態におけるECaCの関与についての解析が必要である。
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