2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機金属ラジカル開始剤の特徴を活かす新反応の開発と不斉反応への展開
Project/Area Number |
17790012
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 健一 京都大学, 薬学研究科, 助手 (00335184)
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Keywords | ラジカル付加 / ジメチル亜鉛 / エーテル / イミン / アルキリデンマロネート / 共役付加 / 不斉付加 |
Research Abstract |
新規炭素-炭素結合形成反応の開発は有機合成化学の中心的研究課題である。特に官能基選択的炭素-炭素結合形成反応の開発は、複数の官能基を有する複雑な標的化合物の合成において、または保護基を用いない合成を可能にするという点からも魅力的な挑戦課題である。我々は既にジメチル亜鉛もしくはトリエチルホウ素を開始剤として用いるエーテル類からのラジカル発生と、そのアルデヒドもしくはイミンに対する付加反応において、ラジカル開始剤が官能基選択性を制御することを見いだした。本年度は新規ラジカル反応の開発を目的として以下の成果をあげた。 1 ジメチル亜鉛を開始剤として用い一炭素及び二炭素単位エーテルから直接的に発生させたラジカルのアルキリデンマロネートに対する共役付加反応の開発に成功し、得られた付加体を抗腫瘍活性化合物の合成中間体へと変換した。また本反応における炭素-炭素二重結合、炭素-窒素二重結合、炭素-酸素二重結合間の官能基選択性を検討した結果、発生したラジカルが炭素-炭素二重結合に付加した生成物が優先的に得られることを見いだした。 2 様々な置換基を有するα,β-不飽和イミンに対してジメチル亜鉛を開始剤としてTHFから直接的に発生させたラジカルの付加反応を検討した。その結果、高い一般性を持って共役付加型の反応が優先することが明らかとなった。 3 ジメチル亜鉛を開始剤としてキラルN-スルフィニルイミンに対する一炭素単位エーテルの付加反応を高い立体選択性で実現した。得られた付加体のアセタール部位は四塩化チタン存在下トリエチルシランを用いる還元反応を行うとラセミ化を伴うこと無くアルコールへと変換できることを見いだした。
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Research Products
(6 results)