2006 Fiscal Year Annual Research Report
臓器特異的上皮細胞モデルを用いた薬物体内動態の予測法の開発に関する研究
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17790120
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹内 綾子 京都大学, 医学研究科, 助手 (00378704)
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Keywords | Na^+ / K^+ pump / 細胞膜Ca^<2+>輸送担体 / 上皮細胞 / 包括的細胞モデル / ホメオスタシス |
Research Abstract |
小腸や腎臓などの上皮細胞では種々チャネルやトランスポータを介した様々な生理物質の輸送が行われており、生体の恒常性維持に重要な役割を果たしている。本研究では、生体側のダイナミックな生理機能の変化を再現し、それに応じた薬物体内動態変動を予測することを目的とした。平成17年度には包括的上皮細胞モデルのプロトタイプの作成を行った。また、多くの動物細胞に共通の一般的な生理機能である細胞容積調節機構に対する種々トランスポータ、チャネルの寄与を予測した。平成18年度は、上記研究成果を発展させ実験的にモデルの妥当性、定量性を検証し、その結果をモデルに還元し精緻化することによって、コンピュータ上におけるダイナミックな生理機能変化の再現を実現させた。 細胞モデルを用いた解析によって作業仮説をたて、実験的に種々パラメータ(細胞の膜電位、イオン濃度(Na^+,Ca^<2+>,Cl^-)並びに容積)を測定し仮説を検証するという「モデル予測-実験検証」のサイクルを繰り返すことによって、従来その関与が明らかでなかったCa^<2+>担体の細胞容積調節における役割を明らかにすることができた。すなわち、Na^+/K^+ pumpは生体の恒常性維持に重要な役割を果たすが、これが阻害されるという病的な状態においても、細胞膜Ca^<2+>ポンプとNa^+/Ca^<2+>交換機転との協調作用によって、ある程度細胞容積が維持されるという代償機構の存在を実験的に証明することができた。また、細胞内Ca^<2+>濃度の変化はタンパク質分解酵素の活性化など細胞のviabilityと密接な関係があることが従来知られていたが、細胞膜イオン透過性にも大きく影響を与え、その結果細胞容積調節機構において主要な因子となりうることを新たに明らかにした。これらの成果をモデルに還元し、薬物添加時における細胞応答を多岐にわたるパラメータについて定量的に予測することに成功した。
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Research Products
(3 results)