2005 Fiscal Year Annual Research Report
癌転移関連因子を標的とするエフェクター分子デリバリーによる癌転移抑制戦略
Project/Area Number |
17790121
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西川 元也 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40273437)
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Keywords | 癌転移 / カタラーゼ / 活性酸素 / ターゲティング / 化学修飾 / RNA干渉 / NF-κB |
Research Abstract |
実験的肝転移モデルにおいて肝細胞ターゲティング型のGal-catalaseが他のcatalase誘導体と比較して有意に転移を抑制したことから、癌細胞と肝実質細胞との相互作用が結果的に癌細胞の肝転移を亢進することが考えられる。そこで、癌細胞と正常細胞との相互作用による活性酸素種の生成および転写因子NF-κBの活性化、MMP産生について検討した。NF-κB活性依存的にルシフェラーゼを発現するベクターを用いた検討から、マウス結腸癌colon26細胞を門脈内に移植することで肝臓構成細胞のNF-κBが活性化すること、またこの活性化がGal-catalaseの投与により抑制されることが明らかとなった。また、マウス門脈内に移植したcolon26のNF-κB活性もGal-catalase投与により有意に抑制された。一方、colon26の門脈内への移植により、転移巣を含む肝臓で血管基底膜の構成成分であるIV型コラーゲンを分解するMMP-9活性が増大していることが示された。このMMP活性の増大もGal-catalaseの投与により抑制されたことから、Gal-catalaseによる肝転移抑制にはMMP-9発現亢進の抑制が関与することが示唆された。そこで活性酸素とMMP活性との関連を解明するために、培養colon26細胞をPMSで処理することで細胞内活性酸素濃度を増大させたところ、細胞から分泌されるMMP活性は顕著に増大した。colon26細胞をマウス腹腔マクロファージおよびマウス肝実質細胞と共培養した検討から、肝細胞が分泌する不活性型MMP-9であるpro-MMP-9を癌細胞が活性化すること、この活性化にはマクロファージなどの免疫担当細胞が癌細胞と相互作用することで産生される活性酸素が促進的に関与することが示唆された。
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