2006 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路網形成過程におけるチロシンキナーゼFes/Fpsの役割
Project/Area Number |
17790188
|
Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
高橋 秀典 姫路獨協大学, 医療保健学部, 助教授 (40379409)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
通山 由美 姫路獨協大学, 新学部創設準備室, 教授 (70362770)
|
Keywords | チロシンキナーゼ / マクロファージ / 微小管 / 神経 |
Research Abstract |
昨年度までの研究成果として我々は神経回路網形成にかかわる分子の一つとしてチロシンキナーゼであるFes/Fpsを同定した。本年度はチロシンキナーゼと微小管の動態調節の関係を明らかにするためにマクロファージなどに発現するチロシンキナーゼについて変異株を作成し、機能発現時における微小管ダイナミクスへの影響を解析した。具体的にはまずインビトロでマクロファージを経て破骨細胞へと分化成熟させ、骨吸収を刺激依存性に定量する解析方法を確立した。またヒト白血病細胞株HL60を、M-CSF、RANKL、ビタミンD3など各種分化因子の存在下で、マクロファージ様の分化を経てTRAP(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ)陽性かつ多核の成熟破骨細胞様に分化した。さらに骨吸収の定量的解析法として、象牙質切片上で破骨細胞を分化成熟させ、ATP刺激により形成した吸収窩の数を定量する方法を確立した。そこで微小管に影響を与えるチロシンキナーゼとしてSykに着目し、shRNA-Sykの永久発現型のHL60を作成して上記方法で解析した。こうしてSykの下流で、微小管の翻訳後修飾が影響を受ける事、微小管のアセチル化のダイナミクスが骨吸収に必須であることを確認した。これら成果の一部は本年中に発表予定である。今後は動画による解析を中心にさらに詳細な分子動態を追跡してチロシンキナーゼを介した細胞骨格の変化とリソソーム様顆粒の放出過程を分子作用機序として明らかにする。さらにチロシンキナーゼの発現を抑制した神経細胞を用いて、軸索の形態とその輸送能、もしくは神経回路網形成過程などについても、野生株と比較しつつ解析を進めていく。
|