2005 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入マウスを用いたT細胞の機能制御と低酸素での転写因子DEC1の機能解析
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17790193
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮崎 和子 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助手 (00311811)
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Keywords | T細胞 / 細胞分化 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
本年度は、T細胞特異的に発現する転写因子DEC1のトランスジェニックマウス(Tg)の作製を行い、胸腺内T細胞分化および末梢T細胞におけるDEC1の機能解明を目的として、以下のような研究を実施した。 胸腺内でのT細胞の分化段階はCD4とCD8の細胞表面抗原の発現によって分類され、いずれも発現していないDN細胞から始まり、両者を発現するDPの段階を経て、成熟したCD4-SPまたはCD8-SPのいずれかに分化・増殖し、それらは脾臓などの末梢の免疫系組織へ移行する。 (1)Tgマウスの胸腺から各分化段階のT細胞を分離し、分化異常や細胞数を検討したところ、総細胞数が野生型に比べて約1/2に減少していた。また、DN3の細胞数が増加しているが、DPで減少し、さらにCD4-SPおよびCD8-SPで著名な減少が見られた。特にCD8-SPの細胞数が激減し、CD4-SP/CD8-SPの割合が上昇していた。 (2)Tgマウスから分離したDN3細胞を用いて胎児胸腺器官培養(FTOC)を行ったところ、CD4/8-SPの著しい細胞数減少と分化遅延がみられた。また、胎児肝のprogenitorにDEC1を強制発現させ、FTOCを行ったところ、DEC1発現細胞は、DN2からDN3へ、およびDNからDPへの分化段階で分化遅延と増殖抑制がみられた。 (3)Tgマウスの末梢組織におけるT細胞を検討したところ、CD4+およびCD8+T細胞の両者とも細胞数が1/5〜1/2ほど減少していた。さらにそのCD4+T細胞はCD62Lの発現が著しく減少していた。 以上の結果から、DEC1が正常な胸腺内T細胞分化・増殖を調節していることと、末梢におけるナイーブT細胞のプールに重要であることが示された。 以上およびその他の予備実験の結果を踏まえ、最終年度となる来年度は胸腺内分化および末梢における活性化時の調節機構について検討を進めたい。
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Research Products
(1 results)