2005 Fiscal Year Annual Research Report
慢性ウイルス感染症におけるメモリーT細胞の免疫応答と関連疾患の病態解明
Project/Area Number |
17790251
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
外丸 詩野 北海道大学, 大学院・医学研究科, 講師 (20360901)
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Keywords | 慢性ウイルス感染症 / メモリーT細胞 / T細胞分化 / HTLV-I |
Research Abstract |
慢性ウイルス感染症では、Tリンパ球のうちメモリーT細胞が感染細胞のコントロールに重要な役割を担っていると考えられており、サイトメガロウイルス(CMV)、C型肝炎ウイルス(HCV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV-1)、ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)などの感染者では血液中に多数のウイルス抗原特異的メモリーT細胞が存在する。感染者の体内ではウイルス抗原の持続的発現と宿主T細胞による免疫反応が認められ、無症候性キャリアでは生体内に潜伏するウイルスは、ウイルス特異的T細胞により良くコントロールされている。その一方、持続感染の間に宿主の免疫反応の破綻やウイルスに対する過剰反応が引き金になり、関連疾患を発症するに至る。ウイルス感染から関連疾患発症に至る過程は未だ解明されたとは言えず、有効な治療法の開発のためにも、慢性ウイルス感染症におけるT細胞の免疫応答を解明することは重要な課題である。 本年度では、ヒト感染性レトロウイルスであるHTLV-I感染症に着目し、HTLV-I関連疾患である脊髄症(HAM/TSP)を発症した患者末梢血を用い、表面抗原マーカーCD27,CD45RA等によりウイルス特異的メモリーCD8+ T細胞をearly, intermediate, lateなどの成熟段階に細分類し、T細胞機能と免疫制御機構を検討した。その結果、HAM/TSP発症患者ではウイルス特異的メモリーCD8+ T細胞がよりearly phaseの分化段階に集積していることが明らかとなり、細胞傷害性機能の未熟なT細胞が集積していることが、免疫制御機構の異常に関連している可能性が考えられた。
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