Research Abstract |
Natural killer T(NKT)細胞は,T細胞とNK細胞の機能をあわせもつリンパ球であり,様々な免疫反応を制御している.NKT細胞は,抗原提示細胞(APC)により抗原提示を受けると速やかに活性化され,Th1およびTh2サイトカイン(IFN-γおよびIL-4)を多量に産生する.NKT細胞から産生されるIFN-γは細胞性免疫を増強し,一方,IL-4は自己免疫反応の抑制に関与する.したがって,NKT細胞のTh1/Th2サイトカイン産生バランスが,どのように制御されているかを理解することは,新たな免疫療法を確立するうえにおいて重要であると考える. 樹状細胞(dendritic cells, DC)は最も強いT細胞活性化能を有するプロフェショナルAPCであり,獲得免疫の誘導に重要な役割を果たしている.また,DCはNKT細胞に対しても強い活性化能を有することが知られている.しかしながら,DCを取り巻くサイトカイン環境が,DCのNKT細胞に対する抗原提示様式をどのように制御しているかについてはほとんど知られていなかった.本研究において我々は,DCにおけるTh1/Th2サイトカイン環境が,そのDCによって刺激を受けたNKT細胞のTh1/Th2サイトカイン産生バランスを,ネガティブフィードバック調節していることを見出した.α-galactosylceramide(α-GalCer)は,NKT細胞を特異的に活性化する抗原で,DC上のCD1d分子を介してNKT細胞に提示される.我々は,マウスをIL-4で前処理することにより,DCの機能が修飾され,α-GalCer刺激によるNKT細胞からのIFN-γ産生誘導が選択的に増強され,脾細胞の腫瘍細胞に対する細胞傷害活性が著しく増強されることを発見した.さらに,この機構を応用し,マウスにおいてより効果的な抗腫瘍免疫療法を確立することができた.
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