2005 Fiscal Year Annual Research Report
プレーナーメンブランを用いた細胞傷害性T細胞の自己認識機構の解明
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17790330
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
横須賀 忠 独立行政法人理化学研究所, 免疫シグナル研究グループ, 研究員 (10359599)
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Keywords | 免疫シナプス / Tリンパ球 / シグナル伝達 / T細胞活性化 / シグナルソーム / プレイナーメンブラン / マイクロクラスター / SMAC |
Research Abstract |
T細胞が抗原提示細胞と活性化等の情報をやりとりする際、この2つの細胞の接触面に「免疫シナプス」が形成されることが知られている。免疫シナプスは、T細胞受容体(TCR)が集まる中心部位c-SMAC (central-supra molecular activation cluster)と、接着分子が集まる周辺部位p-SMAC (peripheral-SMAC)からなり、細胞接触後5-10分で形成される。 われわれは、免疫シナプスがどのように形成されるのか、タイムゼロからの詳細な解析を行うため、ガラス平面上に作成した人工脂質二重膜に主要組織適合抗原遺伝子複合体と接着分子とのGPIアンカー型キメラ蛋白をのせるプレイナーメンブレン法と、一分子イメージングが可能な全反射蛍光顕微鏡との複合実験系を確立した。 その結果、T細胞はプレイナーメンブレンと接触すると、細胞が拡大するに従い、接触面に100-200個ものTCR集合体(TCRマイクロクラスター)を形成し、5-10分後、それらが接触面の中央に移動しc-SMACとなった。各々のクラスターには、その下流のチロシンキナーゼZap70、アダプター分子SLP-76や、その他のリン酸化タンパクが会合しており、さらにTCRマイクロクラスターが形成された時点で細胞内カルシウムが上昇することから、これら受容体-チロシンキナーゼ-アダプターからなるシグナルソームがT細胞活性化の"場"であることが示唆された。また、c-SMACにはZap70とSLP-76は集合せず、一方、c-SMAC形成後も接触面周縁ではリン酸化タンパクと共存するTCRマイクロクラスターが形成されており、T細胞活性化の維持もc-SMACではなくTCRマイクロクラスターによって行われていることが明らかとなった。
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